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CROSS 第13話 『帰投』

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 エアリアルが特務艦に収容されると、すぐに負傷兵の搬送を始め
た。医療室はてんてこまいになり、医療主任が嘆きながら救護に当
たっていた……。

 山口は妖夢と犬走椛を連れて、ブリッジに戻っていた。ヘーゲル
たちも、ブリッジのいつもの場所についた。
「困ったら核攻撃するのが、あなたたち帝国連邦のやり方ですか?」
山口がエビスビールで一杯やっていると、妖夢がそう言った。今自
分がいる艦は、その帝国連邦の艦であることぐらいは、本人も自覚
できているだろう。
「勝つためには仕方ないさ!」
指揮官席に座っている山口はそう言うと、グラスのビールをぐいっ
と一気飲みした。山口の顔は赤くなっていた。ちなみにまだ勤務中
のはずである。しかし、よく見ると、ヘーゲルを除くブリッジにた
佐世保たちも、ビールで一杯やっていた……。その様子を犬走椛は
写真に収めようとしたが、「軍事機密の保護のため」と、撮影が禁
止された……。(妖夢と犬走椛は、山口から酒を勧められたが、断
っていた)

 妖夢が何か言い返そうとしたそのとき、「ピー」という電子音が
ブリッジに鳴り響いた。佐世保がビールを片手に目の前の端末を操
作した。酔っ払っているせいで、手の動きが荒れていた……。
「少佐〜、おとなりの幻想共和国の艦から通信が入りまして〜、シャ
 トルをこっちに送るから、それでそこの庭師さんたちを帰してく
 れだって〜!!!」
佐世保は完全に酔っ払っていた……。妖夢と犬走椛は呆れた表情を
していた……。
「それでは、私は帰りますので。犬走椛さん、行きますよ」
そう言うと、妖夢は立ち上がり、横に座っている犬走椛を見た。
「あれ? わ…わかりました」
犬走椛は疑問があるという表情をしていたが、立ち上がった。妖夢
は、指揮席に座って飲んでいる山口のほうを向き、
「今から向かえに来るシャトルは、幻想共和国軍の最新式のもので
 すが、少佐さんは見ないんですか? エアリアルの内部をよく見
 せてくれたお返しとして、内部もいいですよ?」
妖夢のその言葉に山口は、
「それはうれしいな! 弱点がわかるかもしれない!」
そう言うと、ゆっくりと立ち上がった。
 妖夢と犬走椛に続いて、山口はブリッジから出ていったが、顔を
赤くして酔っていた……。



 特務艦の格納庫へ移動中に、迎えのシャトルが着いたことがブリ
ッジから無線で伝えられた。その格納庫に向かいながら、今回のデ
モンズソウルの世界での行軍話(妖夢は「迷惑話」だと思っている)
について花を咲かせていた。(妖夢はつまらなそうに話していた)
その二人の後ろで、犬走椛がメモを取っていた。
 そんなとき、上社が前方から歩いてきた。どうやら、彼は医療室
で手伝いをやっていたようだ。上社は山口に気づくと敬礼した。そ
して、犬走椛のほうを向いて、一言二言しゃべると、通り過ぎてい
った。
「上社さんって、どんな人なんですか?」
上社が歩き去った後、犬走椛が山口に聞いた。
「いい奴なんだけど、アイツはなんかオレのことを避けている
 気がするんだよね」
「本当に避けているんじゃないですか? まぁ、たいていの人は、
 避けたいと思っているでしょうが」
これは妖夢だ……。山口は、何も言い返さなかった……。