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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第二回・参】僕らの開かずの間清掃

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「俺…この部屋はいった記憶ねぇんだよな」
栄野家長男本人もが入ったことが無いという古い引き戸のこの部屋は俗に言う【開かずの間】という代物であろう
廊下の突き当りとあって日の光も届かず夏なのに涼しく昼間なのにどこか不気味だった
「なにか出そうなヨ・カ・ン」
坂田が気持ち悪く言った
「私恐ろしいですわ…京様…」
京助の後ろに隠れながらヒマ子がここぞと京助にべったりとくっつく
「怖いなら光合成でもしてろ;」
京助がうっとうしそうにヒマ子を払った
「…自分の姿見てから言った方いいと思うよミス・ヒマ子」
南が壁に手を突いて首を振った
「…というか本当に入るっちゃ?」
緊那羅がちょっといやそうな顔をして引き戸を見る
悠助は緊那羅のシャツをつかみながら引き戸を開けようとしていたがガタガタいうだけで開かなかった
「…焼肉のためだ…行くぞ!」

ドガシャ---------!!!

京助が勢いよく開けようとした古い引き戸は部屋の中に倒れた
倒れると同時に埃が舞い上がりか奥の小さな窓から入る微かに光にキラキラ光った
「…コレ、どう見ても引き戸だったのにどうしてこんな開き方するんだ?」
「知るか;」
気を取り直して室内を見渡す
八畳くらいの広さの和室
窓は一つ
電気は付いているものの電球がついていなかった
畳は長年の埃のせいで白くなっている
「…ボク明日白猫になっていたりして」
「ホットケーキ食いすぎてホットケーキになるよりマシだろう」
某魔女映画のセリフを言った南に中島がお約束のツッコミを入れると二人して親指を立てた
「ここさえ終らせれば焼肉が待っているんだ…焼肉が!」
自分に言い聞かせると京助は部屋に一歩足を踏み入れた
足の裏に埃のざらつきを感じながら窓に近づく
他の輩もそろりそろりと部屋の中に入った
置いてある荷物はダンボール数個のみであとはがらんとしていた
窓を開けると風が入って埃が舞った
「一体何年掃除してなかったんだか…」
目の前に下りてきたクモに殺虫スプレーをかけながら京助が部屋を見渡した
悠助は白くなっている畳に指で何か落書いて遊んでいる
「ここをダスキンもビックリのビフォーアフターすればハルミさん喜ぶんだろうな…」
坂田がボソッと呟いた
「ここで私が女の愛の意地根性パワーを京様に見せれば一歩リードですわね…」
ヒマ子もボソッと呟いた
「ここを片付け終わったら焼肉…」
更に京助と南、中島も呟いた
それぞれの思惑が埃の舞う室内で飛び交っている
緊那羅はそんな面々をわけもわからずただ見ていた
「京助ーこのダンボール一旦外出してもいいかー?」
中島が部屋に無造作に置かれていた(放置プレイ)ダンボールをペシペシ叩きながらクモの巣駆除に勤しむ京助に問いかけた
「あ~…いんちゃうかね? 廊下にでも一時避難させておけ」
巣についてきたクモに殺虫スプレーをかけながら投げやりに京助が言った
「中、何はいってるんだろうな」
坂田のボソッと放った一言が全員の動きを止め、計りきれない好奇心に着火を促した
「……」
全員無言のままダンボールの周りに集まって顔を見合わせると爽やかに笑みを交わして親指を立てた
「ごっ開帳~」
「はァ~いいらっしゃいませ~」
ご開帳コールの中中島が某番組の某司会者のモノマネをしながらダンボールを開けた
中には…