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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第二回・参】僕らの開かずの間清掃

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それぞれ分担して掃除をしていく
昔ながらの造りの栄野家は掃除機より箒の方が勝手がいい
緊那羅がなれた手つきで廊下の奥からゴミを掃き出すと掃いた後から中島が雑巾を掛ける
坂田がハタキで天井の埃を払うと悠助がくしゃみをして鼻水を床にたらす
京助は割り箸でクモの巣をクルクルまきとっていた
南は仏間に掛けてある掛け軸をみて唸っていた
「さぼんなよ」
京助がチョップを食らわせる
「いや~…この掛け軸いい仕事してますなぁ…じゃなくて京助」
京助の手を掴んではなすと南が仏間を見渡して聞いてきた
「お前の父さんってどれだ?」
梁の上に並べてある沢山の故人の白黒の写真
「父さんのはねぇよ?」
京助がさらりと言った
「写真ヘタに残して母さんが思い出して哀しむの嫌だから写真は残すなって遺言だったらしいんだ…俺も顔覚えてねぇし」
京助は父親は悠助が母ハルミの胎内にいた頃に他界したと昔母ハルミから聞いたことがあった
まだ小さかったから父のことは覚えてなくて当然だとも聞かされていた
父との想い出は全く思い出せない
そこまで自分は小さかっただろうか
「…さ~て…焼肉のためにもうひとふんばりしますか!! …さぼんなよ」
しんみりしてしまった空気を払うかのように京助が少し大きめの声で言った

「京様! 私も微力ながらお手伝いいたしますわ!」
柱を雑巾で拭いていた京助の元に鉢を引きずりながら雑巾を葉に持ちヒマ子がやってきた
「たとえ今は緊那羅様に劣っていようとも! 女ヒマ子! 必ず京様を振り向かせて見せますわ!!」
「だから…どうしてそこに緊那羅がでてくるんよ…ってか性別…」
京助は背後で緊那羅(きんなら)にまだ勝手に恋の闘争心をさらけ出して燃えているヒマ子と視線を合わせないように柱に雑巾を掛ける
遠くの廊下で緊那羅がくしゃみをした声が聞こえた
「…手伝うのはいいんだけど…ミス・ヒマ子…土…落ちてますから…」
燃えてるヒマ子に中島が声を掛ける
ヒマ子の通ってきた後には一直線に土が落ちていた
「…残念」
京助が柱を拭きながらぼそっと呟いた
大掃除も終盤を迎え、残すは廊下の突き当たりの古い引き戸の部屋のみになった