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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第二回・参】僕らの開かずの間清掃

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「……布?」
中に入っていたのは一枚の長い布だった
「京助のオシメか」
「うっわ汚ったねッ!」
南の一言に中島が手にとっていた布を投げた
「オシメにしちゃぁ長すぎないか? 少なかれ3mはあるぞ?」
投げ出された布を京助が拾って広げた
「ビック・ベィビィだったんだなぁ…お前」
中島が布の端を持ちながら言う
「いや、いくらなんでもでかすぎだって…つうか…結構な年代物らしいけどコスけてないってすげぇ…」
南が感心して布をまじまじと見た
手先が器用な南はよく自分で服を作るために布を購入している
そんな南いわく色の薄い布ほどコスけ率が高いから保管するのは難しいらしい
「そいや…白いTシャツとかも一年タンスに放置プレイしてたら黄色っぽくコスッてるもんな~…さすがハルミさん、一点のコスけもなく長年保管してるなんて…!」
坂田が何かに感動して布に頬ずりした
「あの~…」
布に群がっていた4人に緊那羅が声をかけた
「…焼肉とかいいんだっちゃ?」
「あ」
布にかまけていてすっかり忘れていた掃除
悠助はとうの昔に逃亡していたらしく庭から声が聞こえた
ヒマ子は日光不足で貧血になったためにリタイアしたらしい
「…再開…しますか」
「はァいガチャリンコ~…」
中島が再びダンボールのふたを閉めた

バケツの水は10回近く替えただろうか
雑巾は4枚程真っ黒になって使い物にならなくなった
殺虫スプレーも一本と半分くらい使った
「終ったっちゃ~…」
緊那羅が雑巾を持ったまま大きく伸びをしてやれやれと肩を回した
「こっちも終ったぞ~ぃ」
廊下に一時避難させていたダンボールを室内に戻して清掃終了
「…鼻水が濁流になってる…」
くしゃみをして鼻をかんだ南がテイッシュについた自分の鼻水を見てあらためてこの部屋がどんなにすさまじく埃にまみれていたのかを思い知る
坂田の眼鏡も埃で汚れていた
「焼肉の前に風呂だなこりゃ」
京助が髪をバサバサと払うと埃が舞った
「グーチーパーで組み決めて二人ずつな。余ったヤツは悠と一緒だ」
「グーチーパーとか懐かしいし~…」
典型的な組み分け方法は挙げた京助に南が苦笑いをしながら手をヒラヒラさせる
「…グーチーパーって何だっちゃ?」
聞きなれない言葉に首をかしげる緊那羅に坂田がやり方を教えた
「グーチーパーってのはなグーとチョキとパーのうち好きなものを出して…」
「初心者はグーしか出せないんだぞ」
「南くん嘘はいけないよ」
某霊界探偵漫画のセリフをパクッた南に中島が突っ込むと二人は再び笑みを交わして親指を立てた
「んじゃせーのでいくぞ~…せ~の!」

窓の外では京助の殺虫スプレーを逃れた一匹のクモが再び巣をつくっていた