ゴミ箱のスレイプニル
調査
数分経過してやっと普通に動くようになったパソコンで、検索サイトを表示させ文字を打ち込んだ。
『スタンザ』 ・長い詩を構成する数行単位を主に表す。
表示されたのは車や会社の掲載が多かったが、言葉の流れとしてこれが女の子に言っていた意味だろう。
続いて、もう一つの単語を検索する。
『スレイブニル』 ・北欧神話に登場する八本足の馬。
こちらにも会社や商品で同名の物が多かった、同名のソフトまであるらしい。
それよりも古い絵の画像が当たりだろう。
これが横たわる白い生き物の名前に関係している筈だ。イラストの足を切り取り、小さく寝かせればあの姿になるのか。
調べて分かったものの、それからどうしようもなかった。
最も期待していたスタンザの画像も何度かサイトや文字を変えて調べたけど、関係ないものばかりでさらに僕の頭脳は混乱した。パソコンに例えれば、そろそろ設定を変えてクリーンアップしないといけない、重くて動かない状況だ。
一旦、ここまで知り得た情報でまとめてみる。
長い詩の一部(スタンザ)が足を切られた北欧神話の馬(スレイプニル)を介抱して、一介の学生である僕に助けるよう頼む。
……どうして?
椅子の背もたれに思いっきりもたれて考え込む。
覚えはないけど、無くした足はどこかに僕が捨てたことになっている、らしい。
捨てるといえば、ゴミ箱。
何気なく視線を落としたゴミ箱には、紙切れが数枚残っていた。
そういえば、結構な量の切れ端を捨てた。朝方は急いでいたから、綺麗に捨てたつもりでも捨てきれていなかったらしい。
作品名:ゴミ箱のスレイプニル 作家名:夕雲 橙