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ゴミ箱のスレイプニル

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僕の答え


 僕は椅子から飛び起きると、母親にゴミを捨てたか問い詰める。
 朝、ゴミ袋を部屋に置いたまま出していなかったので、ゴミ出しの時間に間に合わず、家の裏に置いてあった。
 ゴミ袋を部屋に持ち込み、中を漁る。
 花が散ったような様々な色と形の紙、所々に薄く記入した数字と線。
 魚の骨のような形、三角形、四角形、細長く曲がった切れ端。
 僕はそれらを小さな袋に入れた、これでいい筈だ。
 紙切れをどうしていいのか分からないが、僕は小さな袋を枕元に置いて寝ることにした。

 夢を見た。
 僕はスタンザを夢に視るまで意識していた。
 近づきたい、声を掛けたいのだが、どうしても間にスレイプニルが入って邪魔をする。
 夢で観たスレイプニルは座っていたが、僕の倍は大きかった。
 スレイプニルの横を回り込むが、どうしても手が届かない。
 もどかしい想いのまま目が覚めた。

「おはよう」
 目の前にスタンザがいた。
 僕は足の無い馬になっていた。
「どうして見つけてくれなかったの」
 答えが違っていたらしい、僕は失敗したのか。
「残念ですが、あなたの体で還してもらいました。あなたはこのお話の中で、スレイプニルの失った部分を補います」
 僕はどうやら、このままでずっと暮らすようだ。
「何もない、誰かがスレイプニルを解き放つ奇跡が起きない限り、永遠に出られない世界。あなたには世界を駆ける足が無い。居るのは私だけです」
 スタンザが悲しそうに視線を落として、か細い声で話す。
 彼女を寂しがらせてしまった、スレイブニルと分かれて永遠にこんな場所に閉じ込めさせたからだろう。

 僕がいる、僕は間違えたけど君となら……
 スタンザは驚き、困ったような顔をした。
作品名:ゴミ箱のスレイプニル 作家名:夕雲 橙