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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第二回・弐】南くんのチョイ人

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「…というわけでお前らの協力が必要不可欠になってしまったんでごわすよ」
ウサ耳をプラプラ揺らしながら南がコパンを口に運ぶ
「ええ話やナァ…」
感動した中島が京助のシャツで鼻をかむ
「南の恋人は5歳かぁ…恋人っつーよりはチョイ人って感じだよな」
中島を肘で攻撃しながら京助が言った
「で…実行はいつなんだ? 時計ウサギの南くん」
坂田がシルクハットをかぶってウサ耳の南に聞いた
「実行は明日終業式終了後、ちゃんと医者に許可も取った。それと京助、キンナラムちゃんと悠助の協力もほしいんだ」
そういって今だ中島を攻撃し続ける京助を見た
「…悠と緊那羅もか? …まぁいいけど」
緊那羅と悠助の文の衣装を受け取ると京助は自分のも一緒に鞄に突っ込んだ

ありすは窓外を見ていた
膝には【不思議の国のアリス】の絵本
「不思議の国に行きたいかい? ありす」
はっとして振り返ると大きな包みを持ったウサ耳装着済の衣装に身を包んだ南が深々と一礼をして包みを手渡した
「行きたいならば行こう? さあ早く着替えて」
そういうと南はベッドの周りを囲うようにあるカーテンを閉めた
ありすが恐る恐る包みを開けるとそこには青いワンピースドレスと黒いリボンつきのカチューシャ、そして白いエプロン…【不思議の国のアリス】の衣装だった
これらは全て南のお手製である
「早く早くありす! もう時間が無いんだ!」
南がどこか演技っぽくカーテン越しにありすに声をかけるとカーテンが開きアリスの格好をしたありすが照れながら出てきた
「さすがはありす、アリス姿がよくお似合いで」
二人は顔を見合わせて笑った
「さぁ! 不思議の国にご招待だ!」
ありすを抱き上げ小走りで病室を出た
廊下では当たり前だが他の入院している子供たちの注目の的となってありすは真っ赤になって南に抱きついた
しばらく行くと南が足を止めた
「さぁついたぞありす」
そういってドアを開けると軽快な音楽とともに猫耳をつけた悠助がおで迎えする
「ようこそ不思議の国へ!」
どうやらチシャ猫の役らしくシマシマの尻尾を振り回してあちこち走り回っている
ありすがぽかんとしていると今度は奥から坂田扮するいかれ帽子屋とトランプ兵に扮した京助がやってきてありすに白い薔薇を手渡した
「それが見つかると女王様に首をはねられちゃうんだよぅだからありすにプレゼンツ!」
トランプ兵京助が手で首を切るマネをするとありすがふふっと笑った
「ようこそありす不思議の国のお茶会へ、今日はなんでもない日…だからお茶会を開いているのですよ」
シルクハットを指で挙げて坂田がまんまセリフを棒読む
「坂田…演技下手すぎ」
トランプ兵京助が突っ込んだ
「よくいらっしゃいましたありす、私がハートの女王だわよ」
ハートの女王の姿を見た南とありすは固まった
「いや~…緊那羅が断固拒否したんで代役…をと」
ハートの女王に扮していたのは中島だった
比較的華奢な緊那羅用に作ってあったと思われる衣装は比較的体格のいい運動部の中島の体には不釣合いだった(当たり前)
「…こんなのが女王だったら不思議の国じゃなく不気味の国だよな…」
坂田がぼそっと呟いた
「なんで私だけ女役やらないといけないんだっちゃ」
緊那羅は椅子に腰掛けて本来なら中島がやるはずだった三月ウサギの格好をしながらポッキーをくわえていた
「と…とにかくっ; …さあ、ありすこちらへ」
白い薔薇を持ったまま固まっていたありすは南の声で我に返り椅子に腰掛ける
「皆のもの! 存分に楽しんでいってくれでございますわよ!」
ハートの女王中島のおかしな掛け声で不思議の国のお茶会が始まった