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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第二回・弐】南くんのチョイ人

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ミーンミーン…
「あっつぅ~…; なんなんだよこの暑さは…ハルミさんいないしさぁ…最悪…」
扇風機の前でうだる坂田を馬鹿にするように外では蝉がせわしなく鳴いている
坂田、南、中島の3人は夏休みに入ってから【宿題合宿】とこじつけて栄野家に泊り込んでいた
母ハルミは婦人会の旅行で二泊三日不在だった
「4年ぶりの猛暑とか天気予報でいってたぞ」
うちわで扇ぎながら京助が言った
「北海道でコレなら…福島はもっと暑いんだろうな」
ぼそっと一言はなった南に3人が視線を向けた
縁側に足を投げ出してぼーっと空を見ている
庭ではヒマ子さんと悠助、コマとイヌがビニールプールで遊んでいる
ありすが福島に行ってから2日経っていた
「…凹んでるナァ…南」
チリリと風鈴の鳴る音がいつもより大きく聞こえた
「そりゃぁ…恋人が遠くにいっちゃったなら誰だって凹むだろうが」
「ハルミさん…」
京助の一言が(何故か)坂田にもダメージを与えたらしいパタリと横になってしまった
「ただいまだっちゃー」
カラカラと玄関の引き戸が開く音と共に緊那羅が帰ってきた
ジャンケンで負けた緊那羅は近くの商店にアイスの買出しに行って来たのだった
「おかえり緊ちゃんっ!」
悠助がプールから上がって走りよる
「コラ悠! 体拭いてから家ん中入れよ」
「はぁい」
びしょびしょのまま縁側に足をかけた悠助に京助がタオルを投げた
「あ…そうだ京助、コレ…」
緊那羅がアイスの入った袋とは別の袋と財布を京助に手渡した
「…あぁ! こないだの写真か!」
それは【不思議の国のお茶会】の時の写真だった
「できあがったんだなぁ…つかこの女王やっぱ不気味だな…」
「どれどれ?」
京助が写真を見始めるとアイスを貪っていた中島、悠助、坂田、緊那羅もその周りに集まった
南だけがぼーっと空を見ていた

「オイ! ロリコン!」
コツンと坂田にアイスで頭を小突かれた
「ロリ…じゃねぇってば」
「わーってるってば…ホラ」
アイスと共に一枚の写真を手渡された
「俺ガリガリくんがいいー」
「文句たれるな;」
頭におかれたカップアイスを手に取った南が文句を言う
「ありす笑ってるのにお前しょげてたら駄目なんちゃう? 時計ウサギとアリスがいてからこその不思議の国のアリスだろうが」
写っていたのは楽しそうに笑うありすと南(後に女王とチシャ猫)だった
「声…出るようになったら電話するってさ…言ったんだ番号教えてないのに」
苦笑いを浮かべて南は写真を見つめた
「手紙…書こっかとか…」
「よいんじゃありません?」
「番号教えるのに…」
「うむ」
「あと…写真も送りたいし…」
「金、かさねぇからな送料に気をつけろや」
「…ケチ」
「アイス溶けるぞ」
坂田も南も相手を見ないで遠くを見ながら漫才のような淡々とした会話をした
「また…会えるよな」
「…会えるだろうさ。アリスだって最後には時計ウサギにあえたんだし」
「そうだよな…」
南は溶け掛かったアイスの蓋を開けた