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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第二回・弐】南くんのチョイ人

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南がおかしい
それが中島、坂田、京助が共通で最近感じていることだった
「三日に一回は真直ぐ帰宅モードになってるし」
坂田がスナック菓子(コパン)を口に運びながら言うと
「授業中とかなんかの型紙作ったりしてるし」
中島もコパンを食べながら報告する
「この間なんか小児科病院にいたし…」
京助も教室内を歩き回って腕を組みながら言った
「…おかしい…」
3人は口をそろえてその一言をハモったその時だった
「京助! 坂田! 中島! 3馬鹿いるかっ!!?」
南がでっかい袋を4つもって勢いよくドアを蹴り開けた
「…いますけれども」
「何用でしょうか」
「つかお前い今3馬鹿とかゆうたろ」
噂をすればなんとやら南くんのご登場であった
「…頼みがある」
4つのでかい袋を両手に持った姿はさながらバーゲン帰りの主婦のようだったが南の顔は真剣そのものだった
「…頼みって何だ?」
坂田が机に座って聞き返すと南は4つの袋を置きその一つからなにやら取り出した
「…ウサ耳…」
ヘアバンドに取り付けられた白く長い物体…南が頭に装着するとそれはウサギの耳になった
ウサ耳をつけた南は袋の中から更に袋を取り出し三人に渡した
袋の中にはそれぞれシルクハットやら変な被り物やら背広やらが入っていた
「…南…これってまさか…」
中島が尋ねると南はウサ耳を指で弾いて後にやるとにっと笑ってこういった
「不思議の国を作るの手伝ってくれ」

その日のありすはいつもより元気がなく南から離れたがらなかった
「…ありすはどっか行きたいところあるのか?」
何気なく南が聞くとありすは目を大きく見開いた後泣き出してしまったのだ
そんなありすをようやく泣き止ませ帰ろうとしていた南は看護婦に呼ばれて振り向いた
        
         『ありすはどっか行きたいところあるのか?』

看護婦の言葉を聞いた南はさっき自分がありすにした質問に後悔する
「ありすちゃん…ご両親が離婚して再来週福島県にいっちゃうのよ」
「え…」
知らなかったとはいえありすを傷つけてしまったことには変わりない
次の日ありすは南にくっついたままだったが一回も笑わなかった
「…ありす…」
どうしていいかわからなくて南はただありすの頭を撫でるだけだった
面会時間終了の音楽が鳴っているのに気づいた南がありすを見るとありすは静かに寝息を立てていた
起こさないように立ち上がると南の立った反動で枕もとの絵本が数冊床に落ちてしまった
慌ててありすに目をやると起きる様子もなくよく眠っていた
ほっとして本を拾いはじめた南の手が止まった

【不思議の国のアリス】

ありすとであった時にありすが読んでた本だった
『不思議の国のアリス…この本好きなのか?』
そう聞いたときのありすの笑顔を思い出した南は何かを思いつき時計に目をやるとダッシュで病院を出て行った