「山」 にまつわる小品集 その弐
丹波・摂津の守護大名細川政元は、事実上の最高権力者で『半将軍』といわれていた。また、修験道にも通じていた。
当時の明との貿易は朝貢という形式が取られており、莫大な利益が得られた。明から与えられた割符によって、倭寇とは区別されていた。
堺を貿易の拠点とする細川氏と、博多・兵庫に権益を持っていた周防の大内氏が独自に使節団を派遣していたが、勘合符を巡っては対立していた。
管領細川政元によって追放されていた10代将軍足利義材(よしき)を、政元が家臣によって暗殺された後、大内義興が、義植(よしただ)と改名させて将軍に復職させ新しい管領に就いた。
それにより大内氏の遣明船派遣は永久的に保証され、独占する形となったのである。
政元の継嗣・高国の命令で、作蔵が送りこんでいた女が、山城の大内屋敷から割符を盗み出し、それを堺まで運ぶのが今回の役割だった。
作品名:「山」 にまつわる小品集 その弐 作家名:健忘真実