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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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科学少女プリティミュー

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 飛んで跳ねて飛び込み前転して蜘蛛の糸を避けるミユのスカートが乱れ、チラリン、チラリン、チラリン♪
 事件を中継しているテレビカメラがパンチラを捕らえる!
 野次馬のヲタクがコスプレ美少女ミユのパンチラを激写!
 きっと今日中に科学少女プリティミューのサイトが立ち上げられるだろう。
 説明書を読み終えたワトソン君が顔をあげる。
「ミユ! おいらのいうとおりにするにゃ!」
 いうとおりもなにも、ミユが蜘蛛の糸から逃げるのに必死だった。パンチラなんて気にしない、気にしてられない。
 それに加え、改造手術の際にBカップからDカップにバストアップされたために、乳が暴れる乱れる悲鳴をあげる!
 サービスショット満載のミユが聞いてようと聞いてなかろうと、ワトソン君がマジカルハンマーの使い方の説明をはじめる。
「まずは萌えメーターをあげるにゃ。萌えメーターを上げれば上げるほど、必殺技の成功率があがるにゃ」
「萌えメーターってなにっ!」
 ミユはちゃんと説明を聞いていたらしい。
「胸についてるハートがいっぱいになればいいにゃ」
 ワトソン君に言われミユは自分の胸元を見た。するとそこにはハート型のアクセサリーがついていた。そのハートは5分の1程度がピンク色に輝いている。つまり輝きが一杯になったらメーターが満タンに貯まった証拠ということだろう。
 ワトソン君が説明を続ける。
「萌えメーターが一定量貯まったら、『マジカルハンマー・フィギュアチェンジ!』って唱えながら敵をぶん殴るにゃー」
 どんな必殺技が展開されるのか、よくわからない。果たして本当にそんなので怪人を倒すことができるのか?
 しかし、ミユに得策があわるけでもなく、ワトソン君のいうとおりにするしかない。
 逃げ回っていたミユが足を止めて振り返る。
 立ち向かえミユ!
 マジカルハンマーを天高く振り上げてミユが叫ぶ。
「マジカルハンマー・フィギュアチェンジ!」
 ミユが振り回したマジカルハンマーは見事に空振り。しかし、空振った反動で360度回転して、奇跡的にマジカルハンマーが見事に蜘蛛男のおでこにヒット!
「あべばっ!」
 奇声をあげた蜘蛛男の身体が見る見るうちに縮んでいく。いったいなにが起こっているのか?
 そして、蜘蛛男は15センチほどまで縮み、まるでそれはフィギュアのようになってしまったのだ。
 蜘蛛男フィギュアをさっさと回収するワトソン君。
「フィギュアも手に入ったし、アインのところに帰るにゃ」
 あっけない。あっけなさすぎる。途中の苦労がバカらしく思える。
 蜘蛛男を退治したミユの周りに、報道陣やカメラ小僧たちが急に集まってきた。
「あなたはいったい何者なんですかっ!」
 浴びせられる質問にミユは戸惑いながら、小声でボソリと呟く。
「科学少女……プリティミュー」
 これを合図にもっともっとと人がミユに押し寄せてきて、質問が雪崩のようにミユを襲った。
「なぜあなたは怪人と戦うのですか!」
「今日の下着は何色ぉ?」
「そのコスチュームは手作りですか!」
「初体験はいつぅ?」
「いったいあなたの正体は!」
 それに紛れてミユのお尻をタッチする痴漢まで現れた。
 怪人なんかと戦うよりも身の危険を感じたミユが逃走する。
「あたし忙しいんで、さよなら!」
 ミユ爆走逃走激走――コケた。
 スカートを巻き上げ、アスファルトに正面衝突。パンチラショットをまたカメラに撮られてしまった。
 立ち上がったミユは顔を真っ赤にしたまま逃げた。
 そして、これを気に夕方のニュースや翌日の新聞に『あの少女はいったい誰だ!』と見出しを飾ることになったのだった。掲載写真がパンチラショットなのは言うまでもない。

 アインの研究所に帰ってきたミユは速攻でアインの姿を探した。
「アインどこにいるの!」
 殺意を含んだ声音だ。
 アインは無機質なリビングでテレビを観賞していた。もちろんアニメだ。
 テレビの前に立ちはだかるミユ。
「あんたね、あたしが苦労してるときになんでアニメなんか見てるわけ!」
「ちょっと邪魔だよ、今いいところなんだから」
 首を伸ばしてミユの後ろの画面を見ようとするアイン。だが、テレビ電源はミユの手によって遮断されてしまった。
「ぐあああああああっ!」
 叫ぶアイン。
 途中でアニメを消されるなんてアニメ好きには屈辱だ。
 狂気に駆られたアインが白衣のポケットからコントローラを取り出した。
 ヤバイ、もしや起爆スイッチ!?
 ピッとアインがコントローラのスイッチを押すと、急にミユは顔を苦痛に歪めて腹を押さえて床に沈んだ。
「……っな」
 ミユの腹を襲う鈍痛。
 眼鏡の奥のでアインの瞳が輝く。
「ボクも悪魔じゃないからね、いきなり起爆スイッチを押したりはないさ。ただ、ボクに逆らうと痛い目を見るよ」
 アインの持っているスイッチを押すと、ミユは激しい腹痛に襲われてしまうのだ。
「こ、この……悪魔……」
 ミユは床に伏して上目遣いでアインを睨む。だが、もう身体も動かずアインを殴る余裕もない。
 そんなミユに救いの手が伸びる。
「ミユがかわいそうだにゃ」
 ワトソン君だった。
「アニメはどーせDVDで録画してるにゃ」
「それは違うよワトソン君。オンタイムで見ることに意味があるんだよ」
「ミユのおかげで新しいフィギュアも手に入ったし、許してあげるにゃ」
「仕方ないなぁ」
 アインはスイッチを切り、ワトソン君からフィギュアを受け取った。あの蜘蛛男フィギュアだ。
 フィギュアの並べられた棚に蜘蛛男フィギュアを加える。
「カメラの捕獲には失敗しちゃったからね」
 残念そうに呟くアイン。
 そう、実はミユが改造人間になるきっかけになったカメラ捕獲は、カメラをフィギュアにするというアインの趣味が招いた結果だったのだ。
 ミユが聞いたらまた怒り出しそうだが、ミユは激しい鈍痛に耐えかねて気を失っていた。

 ――秘密結社ジョーカーの秘密基地。
 通信装置の前に跪く人影。
「ゲル大佐、ただいま帝都支部に到着いたしました」
 威風堂々とした女性の声が基地内に響き渡った。
 それに答えるように通信装置から威厳を持った男の声が聴こえた。相手の顔はシルエットになっていてわからない。
「どこの誰ともわからぬ小娘にやれれるとは、蜘蛛男は我がジョーカーの恥である」
「アタクシが帝都支部を任されたからには、一日も早く帝都をジョーカーの手中に入れて見せましょう」
「それが言葉だけにならぬよう精進するのだな」
「まずは手始めにプリティミューの首を持ち帰ってみせましょう」
「ふははははは、任せたぞゲル大佐!」
「御意」
 通信を終えて立ち上がったゲル大佐の姿は半裸だった。黒い皮のベレー帽を被り、上半身はサスペンダーで乳首を辛うじて隠すのみ――すごいコスプレだ!
 いや、エロイ。
 成果の上がらない帝都支部に中東から派遣されてきたゲル大佐。名前はゲルだが、見た目は大人の色気がムンムンだ。
 ルージュを吊り上げながら、ゲル大佐が腰から鞭を抜いた。
「嬢王様とお呼び!」
 バシンと鞭が床の上で踊った。