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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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科学少女プリティミュー

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「いたのじゃないし、あたしまで殺す気かっ!」
「敵の数が多かったから範囲攻撃をしたまで」
「ちゃんと誰いるか確認してから撃ってよね!」
「わかったわ、じゃあ伏せて」
「えっ?」
「マジカルカノン!」
 ぶっ放された巨大な光線。
 伏せたミューをかすめて後ろにいた戦闘員を一掃した。
 マジカルメグはミューを放置して走り去ろうとした。
「ちょっと待ってあたしのこと置いていく気!?」
「最初から行動を共にしているつもりはないけれど?」
「緊急事態なんだから協力してもいいじゃん!」
「好きすればいいわ」
「ちょ、待ってってば!」
 走り去るマジカルメグの後をミューは急いで追った。
 マジカルメグはどこに向かっているのだろうか?
「ねえ、どに行く気?」
「人質がどこにいるはず」
「どこってどこ?」
「あんな短時間で全校生徒や教員を学園の外に移動させるのは不可能。そうなると大勢が収容できる場所となると一カ所しかないわ」
「わかった!」
 ミューとマジカルメグはその場所に急いだ。
 そして、二人がやってきた場所とは――体育館だった。
 二人が体育館に飛び込むと、入ってきたドアが何者かによって閉められ、部屋の明かりは急に落ちた。
 スポットライトが壇上に向けられた。
「よくここまでたどり着いたな」
 壇上に立っていたのはカメ・レオンだった。
 さらにスポットライトは人質たちに向けられた。
「助けて!」
「ふざけんな俺たちをどうするつもりだ!」
「もうヤダ、早く家に帰りたい!」
 叫び声や鳴き声、生徒たちの声が二人のヒロインに届いた。
 人質に向けられていたスポットライトが消された。
 壇上からカメ・レオンは手招きをした。
「科学少女と魔導少女、二人には楽しい余興をやってもらおう。さあ、壇上へ上がって来い!」
 人質を取られている以上、従うほかなかった。
 壇上に上った2人とカメ・レオンが向かい合った。
 マジカルメグはすでに殺気を放っている。つまり、てめぇ殺すぞオーラだ。
「わたしたちを壇上に呼んで何をさせる気?」
「察しが早くてありがたい。今から科学少女とと魔導少女、どちらが強いか証明してもらおうと思う」
 つまりそれは……。
 ミューが叫ぶ。
「まさかあたしたちに殺し合いをさせる気!?」
 カメ・レオンは笑った。
「そのとおり。拒否すれば人質がどうなっても知らないぞ?」
 なんて卑劣な。なんて悪役っぽい怪人。
 やっぱり今回のジョーカーはマジだ!
 メジカルメグは頷いた。
「いいでしょう。ミューを倒したら人質は解放してくれるんでしょうね?」
「約束してやろう」
 ミューが慌てて口を挟む。
「ちょっと、本気じゃないでしょうマジカルメグ?」
「いいえ、貴女ひとりの犠牲で大勢が助かるならば、わたしは悪にもなる」
「ちょ!」
「問答無用!」
 マジカルメグが杖を構えて襲ってきた。
 慌ててミューはハンマーで攻撃を受けた。
 交じり合うハンマーと杖。
「ちょっと……話で解決しない?」
 あくまで戦うことを拒否するミューに対して、メジカルメグの眼が冷たいこと冷たいこと。
「聞く耳を持たないわ」
「あなたのこと最初から好きじゃなかったけど、今からでも遅くないと思うの……友達になりましょう!」
 最初から好きじゃないって、そのセリフがケンカ売ってます。
「葬る相手とは友達になれないわ!」
 マジカルメグの杖が薙ぎ払われ、ミューの腹にクリティカルヒット。
 ミューは腹を押さえながら後ろに大きく吹き飛ばされた。
 ありえない、科学少女プリティミューでこんな展開が訪れるなんて。なんだか今回はみんなマジだ。ゲルなんとか以外は。
 戦い合う二人を見ながらカメ・レオンは満足そうに微笑んでいる。
「さてどちらが勝つのか、マジカルメグが優勢か?」
 生徒たちはどちらを応援していいのかわからない。
 本当の敵はジョーカーのハズなのに!
 そのジョーカーの戦闘員たちは賭をはじめていた。
 プリティミューVSマジカルメグ
 こっちもやっぱりマジカルメグが人気で、ミューは大穴扱いだった。
 マジカルメグが足払いを放った。
 見事なまでにすっ転ぶミュー。さらに見事なM字開脚パンチラ。
 倒れたミューに馬乗りになるマジカルメグ。
「覚悟しなさいプリティミュー!」
 マジカルメグがミューの首を締め上げた――かに思われたが、ミユは少し驚いて眼を丸くした。まったく力が入っていないのだ。
 首を絞めるフリをしながら、マジカルメグは自分の顔をミューの顔にグッと近づけた。
「人質はわたしが助けるわ。貴女はカメ・レオンを仕留めて。貴女がわたしを押し飛ばした瞬間、目くらましをするから強く眼を瞑るのよ」
 すべてマジカルメグの演技だったの。でも、さっき腹に喰らった一発は死ぬほど痛かった。好きじゃない発言にたいする嫌がらせですか?
 ミューは無言のまま眼で『うんうん』と合図をして、すぐにマジカルメグの身体を押し飛ばした。
 すぐにマジカルメグが呪文を唱える。
「マジカルフラッシュ!」
 閃光で目が眩む。
 疾風のような早さでマジカルメグは床を滑るように走り、次々と見張りの戦闘員を倒していった。
 カメ・レオンを任されたミューは。
「目が……見えないし!」
 ちゃんと目を瞑れと言われたにもかかわらず、タイミングを間違えたっぽい。
 こうなったら破れかぶれでミューをハンマーを構えた。
「マジカルハンマー・フィギュアチェンジ!」
 スカッ!
 豪快な空振り。
「マジカルハンマー・フィギュアチェンジ、マジカルハンマー・フィギュアチェンジ、マジカルハンマー・フィギュアチェンジ、マジカルハンマー・フィギュアチェンジ、マジカルハンマー・フィギュアチェンジ!!」
 とにかくハンマーを振り回した。
 でもスカッ×5
 戦闘員を倒して人質を救出したマジカルメグが叫ぶ。
「なにやってるのプリティミュー、早くカメ・レオンを倒しなさい!」
「言われなくったって……マジカルハンマー・フィギュアチェンジ!」
 スカッ!
 だんだんとミューの視力が回復してきた。
 ということは相手も回復してきたと言うことだ。
「クソッ、目くらましとは小癪な。だか、こちらにはまだ人質が……って戦闘員が全滅してる!?」
 気づくの遅いし。
 カメ・レオンは額に汗をかきながら後退した。
「これで勝ったと思うなよ!」
 突然カメ・レオンの姿が消えた!?
 ミューは慌てて辺りを見回す。
「どこに消えたの!?」
「ここだ!」
 背景の中から長い舌が伸び、ミューを拘束しようとした。
 そのとき、遠くからマジカルメグの声が!
「マジカルカノン!」
 またぶっ放しやがったそ、おい。
 反射的にミューは伏せた。
「ぎゃぁぁぁぁっ!」
 光線の中に浮かび上がるカメ・レオンと悲痛な叫び。
 黒コゲになったカメ・レオンは床に倒れながら、最後の力を振り絞って遠くにいるマジカルメグに向かって手を伸ばした。
「範囲攻撃なんて卑怯だ……ぞ」
 ガクッとカメ・レオンを気絶した。
 敵の姿が見えなくても、範囲攻撃しちゃえば問題なし♪
 マジカルメグはミューに背を向けて歩き出し、こう言い残して消えた。
「止めは貴女に任せるわ、プリティミュー!」