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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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科学少女プリティミュー

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「ジョーカー怪人は手広く募集しててね、ネットの裏サイトとか、大学のサークルだったり、スカウトマンがホウジュ区あたりでスカウトしたり」
「悪質な新興宗教みたいに、いつの間にか入団させられちゃったりじゃないの?」
「前にさ帝都警察が押収した証拠物件を見たんだけど、法的な手続きを踏んで契約書とか作成してるみたいだね」
「そ、そうなの?」
 あれ、なんか話が違ってきたような……。
 ここでもう1度、ミユは冷静になって考えてみた。
 マンティスシザーの話(ミユの解釈)では、無理やり変態に改造されて、変態になるべく洗脳され、華麗なる変態に生まれ変わると聞いた。
 アインの話(ミユの解釈)では、自ら進んでド変態に改造され、根っからの変態が、さらに変態になるべく日々精進。
 どちらが言っていることが間違っているのか?
 むしろ根本から?ミユ?の考えが間違っているのか?
 マンティスシザーがミユママに近づいたのは偶然だったのか?
 やっぱり、もしかして……イケメン怪人不倫大作戦!?
 どんどんミユは不安になってきた。
 あの心に訴えかけてきたマンティスシザーの言葉も、全部ウソ?
 見事にミユは騙されちゃった?
 ミユママはケータイを持っていないので、ミユは自宅に電話をかけた。
 トゥルルルルル……発信音が聞こえるだけで、いくらコールしても誰も電話にでんわ!
「家に電話かけても誰もでない。パパは残業かもしれないけど、弟だって家にいるはずなのに……」
 不安だ!
 さらにミユを不安にさせる要素を持ってワトソン君がやってきた。
「ミユのママを監視していたロボットの反応が消失したにゃ!」
 はい、ピンチですね。
 とてもとてもピンチでございますね。
「早く帰らなきゃ!」
 ミユは急いで自宅に向かおうとした。
「待ちたまえバイト君!」
 アインが引き止めた。
「待てない、早くママを助けなきゃ!」
「交通機関を使って帰ると時間がかかるよ。ボクが宅配ピザよりも早く届けてあげるよ。というわけだから、いざ出動!」
 アインがリモコンのスイッチを押すと、ミユの足元に落とし穴が開いた。
「きゃっ!?」
 悲鳴と一緒にミユは闇の中に落ちた。
 この展開ってたしか……第1話と同じだ!
 ミユはチューブ状の滑り台を降り、ストンと着地したと思ったら、身体をシートベルトでグルグル巻きにされて発射準備完了。
 秒読み、5秒前、4、3、2、1――ゼロ!
 なんか今回はビルの配管を通って屋上の砲台から発射された。
 人間ロケット発射!
 びゅ〜ん!
 もうすっかり日も暮れて、ミユは夜空の星になりましたとさ。
 願い事はミユが地面に激突するまでに3回唱えるんだよ♪

 科学少女プリティミューが人気になりますように!
 科学少女プリティミューが人気になりますように!
 科学少女プリティミューが人気になりますように!
 ――余裕で3回願い事を唱えてからミユは着地した。
 実際は着地というか着屋根。
 隕石が落ちてきたみたいに、ミユは屋根をぶち破って着地した。
 しかも、自分んちじゃなくて隣んち!
「アッツーッ!」
 ミユは熱々のナベに浸かっていた顔をあげた。口にはチクワをくわえている。
 箸を持ちながら固まっている住人たち。
 どうやら食卓に突っ込んでしまったらしい。
 ミユは苦笑いを浮かべて逃げた。
「おでん美味しかったです、さようならぁ!」
 チクワを美味しくいただきました。
 急いで自宅に駆け込むと、幻想が見えた。
 バラ色が見えるような気がする幻想。
 なんだかよくわからない空気感に家中が汚染されていた。
 リビングで二人を発見。男と女の距離がゼロだ。
 ソファに寄り添って座り、指を絡めて見詰め合う二人。
 ミユママとマンティスシザーは見詰め合っているだけ、もう二人の間に言葉なんて不必要だった。
 かなりの高みまで到達している様子だ。
 ミユの飛び蹴り炸裂。
「ママのことたぶらかしてんじゃないわよ!」
 マンティスシザーはひらりと避けた。
 一撃必殺で仕留められなかったことで状況は悪化してしまった。
 ミユママがマンティスシザーに抱きつき、全身で守ってしまったのだ。
「なんてことするの、ミユをそんな子に育てた覚えありません!」
「覚えてなくても、育てたのはママでしょ!」
「あなたなんてもうわたしの子じゃないわ!」
「……重症だ」
 まさか母親に離縁されるなんて、ここの父親が帰ってきたら泥沼だ。
 ミユはあることを思い出した。
「そうだ、ユウはどうしたの?」
 ユウとはミユの3つ離れた弟である。
「ユウだったらとっくに家を出て行ったわ。バカとかアホとか叫んでたような気がするわね」
 ミユもその言葉を母親に言ってやりたかった。
 マンティスシザーがミユの前に立った。
「私たち結婚することにしました。私たちの愛は誰にも邪魔させません!」
「ハァ?」
 ミユの思考回路は正常に動作しなかった。
 あまりにも話が進みすぎている。
 ミユママがある1枚の用紙をミユに見せた。
「もうわたしの名前は書いたわ」
 それは離婚届だった。あとはミユパパの同意があれば即離婚だ。
 ミユは離婚用紙を奪って破り捨てた。
 すると、ミユママはまた離婚用紙を出した。
「破ってもムダよ、いっぱい書いたもの」
 離婚用紙の束をミユママはドスンと床に落とした。
 それを全部燃やしてやろうとミユは思ったが、そんなことをしても根本的な解決にならない。
「ママ、お願いだから考え直して!」
「それは無理よ……だってわたしたち愛し合っているんだものぉ〜!」
 指を絡めてミユママとマンティスシザーは見詰め合った。
「私も愛しています、ママさん」
 キラキラエフェクトの幻想が見える。
 やっぱりこうなったら根本を抹殺するしかない。マンティスシザーを倒せばミユママの甘い夢も覚めるハズだ。
 ミユパーンチ!
 ミユキーック!
 ミユアッパー!
 全部ひらりゆらりとかわされた。
 マンティスシザーは避けるだけで戦う意思を見せない。
「どうして私たちが戦わなくてはいけないのですか……もう家族じゃないですか!」
「家族じゃないし!」
 強烈なミユのパンチが決まった!
 頬を殴られたマンティスシザーが床に尻をつく。
 すぐにミユママがマンティスシザーを抱きかかえて守った。
「なんてことするの!」
「大丈夫ですママさん。ミユさんが私を殴ったのは、私を父と認めて本気でぶつかって来てくれた証拠です」
 そんなプラス思考を見習いたいですね!
 マンティスシザーは頬を押さえながら立ち上がった。
「しかし、その力を私に向けず、どうして世界平和のために使わないのですか。そう、偉大なるジョーカーのために使わないのですか!」
 あれ?
 ジョーカーのため?
 ジョーカーを滅ぼすため?
 ジョーカーに協力するため?
 なんかどっちにも取れるような言い方をしたが……偉大なる?
 あれれ?
 ミユは首を傾げた。
「あなたジョーカーに恨みがあるって言ってなかった?」
「そんなこと言いましたか? ジョーカーはとても素晴らしい組織ですよ。あなたの力はジョーカーに捧げるべきです。そして、共に世界を愛で包みましょう!」