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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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科学少女プリティミュー

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第5話_マンティスシザーだよプリティミュー!


 日曜日だって言うのに、呼び出しされてミユはカンカンだった。
「ったく、今日は友達と遊ぶ約束してたのに」
 ただでさえ減少中の友達。友達との約束は重要事項の1つだった。が、ヤツはアレを握っている。そう、ミユの命を繋ぐ起爆スイッチ。
 そんなわけでミユは仕方なくアインの自宅&研究所に向かっていた。
 街を歩いていると、人だかりができていた。
 ミユは人ごみを掻き分けて、その中心にいた人物を見た。
 両手がハサミの男が女性の髪をカットしていた。
「シザーマン?」
 と、ミユは呟いた。
 あんな大きなハサミなのに仕事は繊細で、華麗なハサミさばきで観客の心を鷲づかみ。
 いったいこのハサミ男は何者なのか?
 そんな感じで観客とのトークが進められ、ハサミ男はこんな話をはじめた。
「実は……ゲル大佐という方を探して、旅をしているのです。人の髪を切るのは、旅を続けるための路銀稼ぎとでもいいましょうか」
 ゲル大佐を探して3千里ですか!?
 見方によっては感動話じゃないか!!
 ま、ミユは『へぇーそうなんだぁ』程度にか思わなかったが。
 そこらにいる路上パフォーマーと変わりませんね。
 てなわけで、ミユはこの場を後にした。
 獅子舞町を駆け抜け、裏路地を奥まで進んだ。
 金属のドアの前に立って、いつもどおりインターフォンを――押そうとしたのだが。
「貸家?」
 って書いてる張り紙が貼ってあった。
 インターフォンを押しても反応ゼロっていうか、電源すら入ってない感じだった。
 ミユはドアに耳を当てて、中のようすを探った。
 音はしない。
 気配も感じられなかった。
「…………」
 ミユは目を白黒させて、脳ミソをフル回転させた。
 そして――。
「人を呼び出しといて、どーゆーことじゃボケッ!」
 ドアを殴る蹴る!
 金属製ドアなので、辺りに爆音を撒き散らす。
 10万馬力のミユでもドアはびくともしなかった。
 それでもミユはドアに闘いを挑み続けた。
「意味わかんない、借家ってどーゆーことなのよぉぉぉっ!!」
 闘いを続けていると、どっかのビルの窓が開いた。
「うっせーよ!」
 男の声がした直後、2階から投げられたナベがミユの頭にヒット。
「イタッ……」
 ナベをぶつけられた。
 怒ったミユはナベを投げ返す。
「シネ!!」
 ナベを顔面に受けた男は鼻血の噴水を拭きながら倒れた。
 本当に死んだかもしれない。
 邪魔者がいなくなって、ミユはさらにドアと格闘した。
「オラオラオラオラ!」
 なんかもうヤケクソだった。
「ハァ……ハァ……」
 サイボーグでも頑張ると疲れるんですね。
 ミユが息を切らしているとケータイが鳴った。
 誰か確認せずにミユは通話に出た。
「なに!」
《ふむ、電話に出るなり怒鳴るなんてカルシウム不足だよ》
 アインの声だった。
「シネ!」
《言語中枢に障害かい?》
「シネ!」
《ふむ、どうやら重症らしいね。早くボク元へおいでよ》
「ハァ? 来たけど借家ってどういうことよ!」
《そうだ、そのことで電話をしたんだよ。引っ越したからそこに来てくれたまえ》
「シネ!」
 絶対にコロス、次に会ったら絶対にコロス。ミユは心に刻み込んだ。
《ケータイに地図を転送してあげるから、早くおいでよ》
 ブチッっと通話が切れた。ブチッとキレたいのはミユのほうだった。てゆか、もうキレてます。

 地図を頼りにミユがやって来たのはアキバ区ネオ・アキバタウン。
 オタクの聖地だ。
 街を歩いているとそこから中から音楽が聞こえてくる。
 アニソンばっかりですね。
「汚染される……あたしの心が汚染される」
 ミユは吐き気を催していた。
 日曜日の今日は特にヤバイらしい。
 メインロードが歩行者天国になっているらしく、なんか変な人たちがわんさかいますよ。
 レイヤーさんに群がるカメラっ子。
 その中に知ってる顔を発見してしまったミユは、断じて見ていないことにした。
 こっちがあっちを見つけたことよりも、あっちにこっちが見つかることを恐れた。
 なのにあっちは見つけやがりましたよ!
「センパーイ!」
 メグが駆け寄って来た。
 聴こえないフリ聴こえないフリ。
 ミユは空を眺めながら逃走。
 しようとしたが、腕を掴まれてしまった。
「センパイ待ってくださいよぉ」
「ワタシ日本語ワカリマセン」
「センパイ大丈夫ですか?」
「ワタシ日本語ワカリマセン」
 強引過ぎる。
 メガネの奥から覗くまん丸の瞳。
「センパイですよね?」
「センパイ誰デスカー?」
「ミユ……センパイですよねえ?」
「世界ニハ自分ト似タ人ガ3人クライイル言イマース」
「はぁ……そうなんですか……」
 不思議な顔をしてメグはきょとんとしている。
 その隙を突いてミユは逃走した。
 今度こそ逃走に成功!
 メグは呆然と立ち尽くしたままだった。
 絶対に変人だと思われましたね!
 そのまま走ってミユは地図に書かれた場所までやって来た。
 いくつかの店が入っているビル。
 そのビルの地下2階にアインは引っ越したらしい。
 エレベーターで降りる間、どうやって血祭りに上げてやろうかミユは考えた。
 とりあえずメガネごと目潰しで奇襲をかける。
 視界を奪ったところであとはじっくりコトコトお楽しみだ。
 邪悪な笑みを浮かべるミユ。そんな顔で街中を歩いていたら職務質問されます。
 エレベーターを折り、少し歩いてドアのインターフォンを押す。
 小型ディスプレイにワトソン君の顔が映された。
《今開けるにゃー》
 自動ドアが開き、中に進入するミユ。口元が邪悪だ。
 ミユは辺りを見回しながら獲物を探した。
 部屋は前より広くなっているが、家具の配置は前とほとんど同じで、棚に並べられたフィギュアがミユを見ている。
 その部屋の中心にアインはいた。ソファに座ってさっき届いたばかりのアニメDVDを鑑賞している。
 今だ、相手が油断し切っている今こそチャンスの時だ!!
 ミユはチョキの構えでアインに飛び掛った。
 ガツーン!
 突然現れたフライパンによってチョキが塞がれた。
「いったぁ〜い!」
 ミユは指先を押さえながらしゃがんだ。
 アインはアニメを見ながら言う。
「今いいとこなんだから邪魔しないでくれたまえ」
 命を狙われたことなど、まったく気づいていないらしい。
 ミユは再びアインに襲い掛かった。
「シネ!」
 今度はマジだ。
 フライパンごと叩きのめしてやる!
 が、アインの高機能ランドセルから飛び出したフライパンは、またもやミユの攻撃を防ぎ、さらにミユを思いっきりぶっ飛ばした。
 ぶっ飛んだミユは棚にぶつかり、フィギュアが雪崩のように床に落ちた。
「ボクのフィギュアー!!」
 アインが絶叫した。
 アニメなんか見ているどころじゃない。
 騒ぎを聞きつけてワトソン君も部屋の奥から顔を出した。
「どうしたにゃ?」
「どうしたもこうしたもないよ、バイト君がボクのフィギュアを!」
 ワトソン君が見たのは、床に散らばったフィギュアの山と、目を血走らせたミユの姿だった。
「シネ!」
 ミユはまたまたアインに襲い掛かった。
 ガツーン!
 自動操縦のフライパンがまたミユをぶっ飛ばす。