科学少女プリティミュー
起爆スイッチやバイト料に関係なく、ミユは絶対に倒す決意をした。
さっそくプリティミューに変身して下水に降りた。
かなりデカイ下水に降りたらしく、川のように流れる下水の脇に人の通る道が確保されている。
「あれ、どっちに行けばいんだっけ?」
はい、おめでとうございます――迷子です。
下水道で迷子になってしまったミュー。
しばらく歩いていると、水の流れる以外の物音が聞こえた。
ミューは急いでそっちに向かった。
思わずミューは足を止めてしまった。
そして、見なかったことにして回れ180度。
「ちょっと待ちなさいよぉン!」
なんか聞き覚えのある声。そこにいたのはサラセニアぁンだった。
しかも、なんかワラワラいますよ。
さすがに勝てないのでミューが逃げることにした。その視線の先に現れる黒い影。
「さすがはプリティミューね。貴女もここに本体があると思ってきたのね?」
魔導少女マジカルメグだった。
ところで1つツッコミたいところがあるのだが……マジカルメグって?少女?やないやん!
すでに戦闘モードに入ったマジカルメグ。
なんかいかにも魔法です、って感じのエネルギー体を飛ばしまくって、マジカルメグが次々とサラセニアぁンを倒していく。
だが、倒しても倒してもすぐに新しいのが生えてくる。
で、なんか知らんうちにメグが触手に捕まって宙吊りにされていた。
ずっとクールだったマジカルメグが崩壊した。
「いやぁ〜っ、早く助けてくださぁ〜い」
涙をボロボロ流しながらマジカルメグは情けない声を出した。
……呆気にとられるミュー。
触手は貪るようにマジカルメグの身体に巻き付き、バストが締め上げられて強調された。
バストアップ効果だ!!
マジカルメグは地面に落ちた自分の杖に手を伸ばして訴えた。
「その杖を私に……」
ミューは言われた通りに杖を拾って、メグに向かって投げた――次の瞬間、触手がミューの身体を弾き飛ばした。
ドボーン!
下水に堕ちたミュー。
さらに次の瞬間、マジカルメグは呪文を唱えていた。
「フレイムロード!」
火焔がサラセニぁンたちを焼き払い、炎の道の先をマジカルメグが指差した。
「あれが本体よ、プリティミュー!」
えっ、いつの間にかクールモード?
確かにそこにいたサラセニアぁンは周りと違っていた。バーコードハゲなのだ!!
ミューは下水から這い上がって駆けた。ドロドロの水に濡れた姿が一部のマニアに萌えだ。
萌えメーター全快!
「マジカルハンマー・フィギュアチェンジ!」
「あぁン♪」
キモイ声を上げてサラセニアぁンはフィギュアになった。
すると、周りのサラセニアぁンが次々と枯れてしまったではないか!
残ったのは腐った果実のような残り臭い。
マジカルメグはもう完全にクールなお姉さんに戻っていた。
「今日のところは礼を言う……ありがとうプリティミュー」
そう言ってすぐにマジカルメグは姿を消してしまった。
残されたミューは数秒間じっとしていて、急にハッとして叫んだ。
「ここどこなのよぉ〜!」
はい、おめでとうございます――迷子です。
――秘密結社ジョーカー帝都支部。
今日はいつもと様子が違った。
怪人たちがあまりに不甲斐ないため、ゲル大佐が寝込んでしまったらしい。
ち○こがあってもなくても、両生類でもダメだった。
通信装置のあるいつもの部屋では、戦闘員たちが胡坐を掻いて怠けていた。
そこへ現れた謎の男。
「あの〜、ゲル大佐の髪を散髪に来たのですが……ゲル大佐はどちらに?」
ボソボソと弱々しい口調。顔も青白く見るからに病弱そうだ。
しかし、その男は鋭い武器を持っていた。
なんと両手が巨大な金属ハサミなのだ。
この男の正体はカマキリ怪人マンティスシザーだった!
戦闘員がマンティスシザーに挨拶をする。
「キーッ!」
「あの〜、キーッじゃわからないので日本語でお願いできないでしょうか?」
「キーッ!」
「ごめんなさい、自分で探します。お手数をお掛けしました」
心の底から申し訳なさそうに頭を下げ、マンティスシザーは姿を消した。
それと入れ替わりで部屋に入ってきたゲル大佐。
「おい、マンティスシザーはまだ来ないのか!」
「キーッ!」
「なに、今来ただと? どうして自分の元へ連れて来んのだ!」
ゲル大佐は巨乳を揺らしながら怒り、戦闘員の股間を蹴り上げた。
「キーッ!」
悲鳴もやっぱり『キーッ!』だった。
次回の怪人はさっきの彼なのか!?
果たして他の怪人が登場しちゃうのかっ!
結局、魔導少女マジカルメグの正体もわからなかったよ!!
てゆか、フンドシ仮面(誤字)はあれからどうなったの……?
作品名:科学少女プリティミュー 作家名:秋月あきら(秋月瑛)