小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

科学少女プリティミュー

INDEX|17ページ/42ページ|

次のページ前のページ
 

 プリティミューの必殺技『フィギュアチェンジ』が効かなかった。
 それについてもアインは明確な回答をした。
「あぁ、それね。萌えメーターが足らなかったからだよ。ザコ相手なら少しでいいけど、強い相手はたくさん萌えをためなきゃいけないんだ」
「はぁ?」
 なんかそういえば、そんなようなメーターの存在があったような気がする。プリティミューに変身したときに、胸のあたりにハートマークのメーターがあったような?
 そんな話をしている最中も、外からは喚き声が聴こえてきていた。
「オイこら、早くここから出て来い! さもないと海の家ごとふっ飛ばすぞ!」
 そろそろ出て行かないとマズイかもしれない。
 ミユがビシッと背を伸ばして立ち上がった。
 こうなったらアクアモードに賭けるしかない。
「よしっ、あたしガンバルから」
 ラッキーセブンをケータイに入力して叫ぶ。
「サイエンス・アクア・メイクアップ!」
 ブルーの光に包まれるミユ。
 そして、アクアモードに変身したミユの姿とは――?

 痺れを切らしたレイディスコーピオンはロケット弾を打ち込む準備をしていた。
 そこで開店した海の家から出てきた人影。
 ミューだ、アクアモードに変身したミューだ!
 野次馬たちが歓声をあげた。主に男の歓声。
 アクアモードに変身したミューの姿……その姿はスク水だった!
 そう、紺のスクール水着。胸に縫い付けられた白い布には、黒いペンで『ミュー』と汚い字で書かれている。
 そして、このスク水の最大の特徴は萌えメーターだ。通常の変身時には胸にあったメーター、それがアクアモードではお尻についているのだ。お尻にハートがついていた!
 まさか夏でもない時期にスク水を着るなんて思ってもなかった。
 しかも、プールじゃなくて海。
 しかも、公衆の面前でテレビにまで映っている。
 しかも、今日は怪獣騒ぎでカメラの数が多い。
 ローカルヒロインから全国区のヒロインに昇格だ!
 もう絶対に友達や身内に正体がバレる。今まであまりバレてなかったのが不思議なくらいだが。
 プリティミューとレイディスコーピオンが向かい合う。
「今度は負けないんだから!」
「おほほ、衣装を替えたところでアタクシには勝てないわよ」
 ハサミと尾を操るレイディスコーピオンに対して、ミューはいつのもハンマーではなくバレーボールだ!
 バレーボールというのは語弊がある。どうみても鉄球だ。
「バレーボールで勝負よ!」
 でもやっぱりバレーボールらしい。
 ミューの宣戦布告ではじまったバレーボール対決。
 ビーチバレーの標準的なルールに乗っ取るなら2対2の対決だ。
 レイディスコーピオンと戦闘員のコンビ、ミュー側の相方は……いない。
「しまった……自分で戦いを申し込んでおいてパートナーがいないじゃん!」
 ミューはワトソン君に顔を向けた。
「おいらはネコだから無理だにゃ」
 人間に変身すればいいじゃん、と思うかもしれないが、きっとフル○ンだ!
 ミューはアインに顔を向けた。
「ぐわっ、知らないうちに落札されてる!!」
 ミューのこと完全にシカトでノーパソをやっていた。しかも、おそらくオークション。
 こんな感じでささやかなピンチを迎えたミューに手を差し伸べたのは!
「センパイ、わたしバレー得意ですよ!」
 すっかり、忘れてた。メガネッ娘メグがいたんだった。
 メグの参戦により、ついにバレー対決の幕が開けた。
 なぜか放置されていたバレーネットを使い、2チームがコートの中に入った。
 ネット越しにレイディスコーピオンがビシッと指を差してきた。
「この勝負でアタクシが勝ったら貴様らの命を貰うだけではないぞ。この帝都はこの砂浜のように、砂漠と化すのだ」
 まさか、この冬なのに常夏現象はジョーカーの仕業だったのか!?
「絶対にそんなことさせない!」
 これを言ったのはミユじゃなくてメグだ。どっちかというと、ミユは帝都の平和に関してそれほど興味がない。
「あたしは起爆スイッチすら押されなきゃそれでいいんだけど」
 あとバイト代さえもらえれば。
 そんなこんなでバレーボールがはじまる。
 サーブ権はミューだ。
 どう見ても中身が空気じゃないないボールをサーブする。
「とりゃ!」
 ボールがビューンってぶっ飛ぶ。
 ゴキッ!
 なんか嫌な音が鳴って、顔面でボールを受け止めた戦闘が泡を吐いて倒れた。
 退場!
 他の戦闘員によって担架で運ばれていく。
 そして、すぐに別のメンバーが補充された。
 そうそう、このバレーには特別ルールがある。それは得点制ではないこと。ボールを敵にぶつけて相手が倒れるまでやり合う。
 ミューは完全にザコ戦闘員狙いで、次々と相手の数を減らしていく。
 そして、ついに戦闘員はすべて倒されレイディスコーピオンを残すのみになった。
「おのれ小娘め……戦闘員ばかり狙うなんて卑怯だぞ!」
「戦略って言って欲しいかな」
 ミューのチームはメグもちゃんと生き残ってる。てゆか、たぶんボールを一発でも喰らえば三途の川を渡れる。
 けれど、そもそもメグはバレーそっちのけでミューを激写している。
 一眼レフを構えて激写、激写、激写!
 これってもしかして、最初から1対1で戦っても良かったんじゃないの的な展開。
 ミューが豪快なサーブを放つ。
「うりゃ!」
 狙う相手はレイディスコーピオンしかしない。
 飛んできたボールをレイディスコーピオンが打ち返した!
 それをまたミューが打ち返した。
 それをまたレイディスコーピオンが打ち返した。
 それをまた……以下省略。
 バレーっていうか卓球かよっ!
 みたいなラリーの猛襲が繰り広げられ、ミューはだんだん息が切れてきた。
 砂浜を照りつける太陽。平気な顔をしているレイディスコーピオン。ミューは熱さで意識が朦朧としてきた。
 そして、ついに鉛のように重い鉄球がミューの腹にヒットした。
「うっ……」
 当たってみるとカナリ痛い。
「大丈夫ですかセンパイ!」
 とか身を案じながらもメグは痛がるミューの表情を激写。
 そして、事件は起きた!!
 日本ではありえないくらいのビックウェーブがミューたち全員を呑み込んでしまった。
 なんだこの展開!?
 海の中から現れる白い触手。
 パソコンをやっていたアインが目を剥いて立ち上がった。
「大魔王イカだ!」
 すっかり忘れてた。
「バイト君、フィギュアにするんだ!!」
 アインが叫んだ。
 そのときミューは……触手に捕まっていた。
「無理だから!」
 しかも、メグまで捕まっていた。にも関わらず激写中。
「センパイ笑ってくださ〜い」
 ついでに、レイディスコーピオンも捕まっていた。
「クソッ!」
 レイディスコーピオンは自慢のハサミでイカの脚を切り刻む。
 怒った大魔王イカが暴れ出した。なんかもう手に追えない感じだ。どうやって収拾するんですかこの事態!
 アインが叫ぶ。
「バイト君、必殺技を使うんだ!」
「必殺技ってなに!」
「アクアボムクラシュって叫びながらボールを投げるんだ!」
 ミューは無我夢中で持っていたボールを投げることにした。
「アクアボムクラッシュ!!」