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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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科学少女プリティミュー

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 刃物を先端につけたような鋭い尻尾がミューに襲い掛かる。
「きゃーっ!」
 ミューの悲鳴と共に切り裂かれる甘ロリ衣装。
 男たちから歓声あがった。
 再び切り刻まれるミューの衣装。そして、湧き上がる歓声。砂浜はムンムンした暑い熱気に包まれた。
 衣装をボロボロに切り裂かれ、ミューは剥がれ落ちそうな胸元の布を押さえて後退った。
「このドSの痴女!」
「おほほほ、もっと辱めに合わせてから止めを刺してやる。シャーッ!」
 奇声をあげて襲い掛かってくるレイディスコーピオン。
 ミューは切り札を出した。
「マジカルハンマー・フィギュアチェンジ!」
 振り下ろされたハンマーはレイディスコーピオンのおでこにペチン!
 が、なにも起こらなかった。
 鋭いハサミはミューの胸を切り裂く!
 湧き上がる歓声!
「きゃーっ!」
 叫ぶミュー。
 外れたブラジャー!!
 ミューは両手で胸を隠してしゃがみ込んでしまった。
 これって絶体絶命のピンチか!
 ミューを見下して立つレイディスコーピン。
「お遊びはここまでだ。止めを刺してくれるわ!」
 振り上げられる鋭いハサミ。
 このままミューはやられてしまうのか!
「ちょっと待つにゃー!」
 その声はまさか……!?
 海をクロールで泳いで来る人影……人影?
 褐色の肌をした若い男が世界新記録に迫る勢いで、いやそれ以上のスピードで海を泳いでくるではないか!
「何者だ!」
 叫んだレイディスコーピオンは見てしまった。
 海から上がってきた美少年の姿を……しかもフル○ンだ!
「おいらが相手だにゃ!」
 顔に似合わない口調。しかもフル○ン!
「な、なんだ貴様は……ち○こ丸出しでアタクシに敵うと思っているのか!」
 威勢は言葉だけで、レイディスコーピオンは焦っていた。その視線が向けられているのは、美少年の股間!!
 ――巨根だった。
「クソッ、ち○こごときに……ち○こなどにアタクシが負けてなるものかっ!」
 取り乱しながらレイディスコーピオンは謎の美少年に襲い掛かった。
 まるで猫のようなしなやかさで攻撃をかわす美少年。そのたびに、ち○こが右左に踊る。
 レイディスコーピオンはち○こから目が離せなくなってしまった。
 海だからってち○こ丸出しで戦うなんて弾けすぎだ。てゆーか、卑怯だ卑劣だ、放送事故だ!
 ただいまお茶の間では急遽差し替えの映像が流れている。ち○こが踊ってる映像なんて真昼間からテレビで放送できるかボケッ!
 踊っているのはち○こだけではない。それに踊らされるレイディスコーピオン。
「早くち○こを隠せバカがっ!」
「おいらはいつも裸だにゃー!」
「巨根を自慢したいなら他のところでやれ!」
 もうレイディスコーピオンの頭の中はち○こでいっぱいだった。
 その隙に謎の美少年が攻撃を繰り出す。
「ねこパーンチ!」
 鋭いツメがレイディスコーピオンの腕を掻っ切った。
 切られたのは腕なのに、血を豪快に噴いたのは鼻の穴だった。
 真っ赤に燃える太陽のような鼻血をレイディスコーピオンは噴出した。
 レイディスコーピオンが怯む……攻撃にではなくち○こに怯んだ隙に、謎の美少年はミューを抱きかかえた。
 抱きかかえられたミューは顔を真っ赤にする。その視線はもちろんち○こ!
 今日はもうち○こフィーバーだ!
 そして、謎の美少年はミューを抱きかかえたまま走り出した。
「ひとまず逃げるにゃ!」
 独り残されたレイディスコーピオンは砂浜に膝を付き、何かをブツブツ呟いていた。
「ち○こ……ち○こ……ち○こ……ち○こ……」
 かなり重症のようだ。

 閉店ガラガラ〜。
 海の家に逃げ込んだ謎の美少年とミユ。ミユの変身は解けてしまっている。
 2人が店に飛び込んだのと同時に閉店ガラガラして、外からの出入りを一切封じた。
 フランクフルトを食べていたアインはその手を止めた。
「ちんちんを隠したまえワトソン君、看板娘の前だよ」
 顔を真っ赤にして『いやん』と声をあげたババア。
 というか、やっぱり美少年の正体はワトソン君だったのだ。しゃべり方からしてバレバレだった。
 ワトソン君は脱ぎ捨ててあった白衣を腰に巻いた。
「なにも着ないほうが涼しくていいにゃ」
 軽く愚痴を溢すワトソン君を、ずっと驚きの眼差しで見たままのミユ。
「巨根の正体……じゃなくて美少年がまさかワトソン君だったなんて……しかも巨根」
 巨根にこだわりすぎ。
 そして、ミユはもうひとつショックなことがあった。
「てゆーか、ワトソン君ってショタキャラじゃなかったの!!」
 ミユの勝手な妄想では、ワトソン君はアインよりも幼くて、擬人化したらショタそのものだと思っていたのだ。見事に期待を裏切られた!
 しかも巨根だなんて反則だ!
 なんかもうミユはいろいろショックだった。
 世の中なにを信じていいのかわからない。疑心暗鬼になりそうな勢いだ。
 でも、どうしてネコのワトソン君が人間の姿に?
 まさか悪い魔女に呪いをかけられた?
 でも、やっぱり有力な説はどっかのマッドサインエンティストの被害者?
 疑うミユの視線がアインに向けられた。
「アインがやったの?」
「ん? なんのことだい?」
「ワトソン君がなんで人間の姿になってるわけ?」
「あぁ、彼は水をかぶると人間の姿になっちゃうんだ」
 なんかそんな設定聞いたことがあるような。
 しかも――。
「お湯をかぶると元の姿に戻るよ」
 と、アインは追加した。
 やっぱりそんな設定聞いたことがあるような。
 ミユはどっからか真っ赤なヤカンを持ってきて、ワトソン君の頭からお湯をぶっかけた。
「熱いにゃー!」
 叫び声をあげたワトソン君の身体が縮んでいく。アソコのサイズもミニサイズ。
 そして、全身に毛の生えた三毛猫になってしまった。
「マジだ……」
 ミユは信じられないと言った感じで呟いた。
 やっぱり世の中信じられないことばっかりだ。
 ミユはなんだか頭がガンガン響いてくるようだった。頭痛かなっと思ったら、閉店したシャッターを叩く音、そして声。
「逃げるなんて卑怯だぞ!」
 レイディスコーピオンの声だった。どうやら重症から立ち直ったらしい。
 すぐそこまで敵が迫っている。だが、アインは余裕をぶっこいている。
「このヤキソバも美味しいよ」
 フランクフルトの次はヤキソバまで食っていた。
 ミユはアインに噛み付いた。
「ちょっと、ごはんなんて食べてないで外の怪人をどうにかしてよ!」
「どうにかするのはキミの仕事だよ」
「でも……今のあたしじゃ……」
 ――敗北。
 3匹目の怪人にして早くも挫折。
 だが、まだ本当に負けと決まったわけじゃなかった。
 ヤキソバを食べながらアインは言う。
「キミが負けたのは当然だよ。アクアモードじゃないからさ」
 そうだ、アクアモードがあった。
 海や水辺に適しているという変身モード。
 ここでワトソン君が説明すると見せかけて、先にアインが口を開いた。
「だから、変身のときにサイエンス・アクア・メイクアップって叫ぶだけだよ。1回の説明で覚えようよバカだなぁ」
「バカじゃないから。でも本当にそれであの怪人に……だって、マジカルハンマーだって効かなかったのに」