【第二回】届け恋の光合成
ジー…パシン
「…なにしてるっちゃ?;」
メジャーを持ち緊那羅の腰に両葉を回しているヒマ子に声をかける
「…57.4cm…勝ちましたわ…」
ボソッと呟くと緊那羅に背をむけて走り出す(鉢引きずったまんま)
「京様ー!! 私勝ちましたわ---!」
ヒマ子が何にどうして何を勝ったのかわからないが京助の名前を高らかに叫びながらゴトゴト鉢のまま走るヒマ子の後姿を緊那羅は箒を持ったままぽかんと見ていた
「京様!!私やりましてよ! 緊那羅様に勝ちましたわ!」
「ぶへほッ!!;」
鉢がついたままタックル抱きつきを直で受けた京助は数メートル吹っ飛んだ
「緊那羅様ウエスト57.4cmに対し私ヒマ子なんと14cm!」
ヒマ子は腰(にあたる部分と思われる)に葉をやりセクスィーポーズを決めて勝利宣言をする
「勝った…つうかお前3サイズ全部同じなんじゃねぇの?」
タックルをくらって埃まみれになった京助の言葉を受けてヒマ子はメジャーで3サイズを計り始め、そしてガックリとその場に座り込む
「…おなじ…でしたわ…」
ヒマ子の頭上に【ずん胴】の文字が浮かんで見えた(様な気がした)
「…ボンキュッボンの向日葵がいてもどうよって感じだけどな」
胸と尻をプリプリさせているヒマ子を想像して京助は青い顔で遠くを見つめた
「なにしてるの~?」
庭でコマとイヌと遊んでいた悠助はヒマ子のいつもと違う格好を見て声をかける
日傘をさしサングラスをかけ挙句日焼け止めのクリームを塗っていた
「白い肌は女の命ですわ焼くなんてもってのほか!! 美の敵ですわ!! 美肌なら緊那羅様に負けませんわよ!」
そう力説するヒマ子に
「でもヒマ子さん緑色だよ?」
悠助の痛恨の一撃、ヒマ子は固まってしまった(RPG風に)
「ピッ●ロさん(ドラゴ●ボール)と同じだね~」
夏休み特番放送でドラゴ●ボールを昨日見た悠助は楽しそうにヒマ子に言った(悪気皆無)
「…京様…」
白い布きんが掛かった皿を真っ赤になりながら両葉で京助に差し出た
「暑い中草むしりご苦労様です…あの…よろしかったらお食べになってください…元気になりますわ」
京助が皿を受け取ると両葉で顔を覆い、恥ずかしそうに身をくねらせる
その様子を頬を引きつらせながら見ていた京助と目が合うと『キャッ』と小さく声を上げてしゃがみこんでしまった
「ま…ぁ何だありがとうな;」
引きつった笑顔で皿の布きんを取った京助は中のものを見て固まった
「…なんだ…コレ」
異臭を放つ土のような物体…
「榎樹屋の植物用肥料『元樹君ハイパー』ですわvVどうぞお食べに…」
「食えるかッ!!;」
体育(のみ)5の京助が力いっぱい放り投げた『元樹君ハイパー』は皿ごとはるか彼方に飛んでいった
「何なんだよアイツはッ!!;」
散々ヒマ子に付きまとわれ夕方、京助がついにキレた
「ヒマ子さんは京助のこと好きなんだってば」
「こちとら迷惑なんじゃっ!! てか何で向日葵が動いて話してるんだよッ!」
頭をかきむしり声を荒げながら京助はキレていた
「大体俺をどうして好きになったのかがわからんッ!!;」
「本人に聞いてみたらどうだっちゃ?」
意味も無く歩き回っては意味も無い動きをする京助に緊那羅がさらりといった
「私もなんで敵視されているのか丁度聞こうと思っていたところだっちゃし…」
敵視される理由がわからないのに敵視されている緊那羅も疲れてきているらしい
「僕もいく~」
3人はヒマ子のいる庭に向かうことにした
作品名:【第二回】届け恋の光合成 作家名:島原あゆむ