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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第二回】届け恋の光合成

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ブシー!!

悠助の声とともに感の中身が勢いよく噴出し小さな虹ができた
見事ファンタ(グレープ)まみれになった三人は髪から雫を滴らせながら顔を見合わせた

「…緊那羅いつから水出せるワザできる様になったんでしょう」
その様子を見ていた乾闥婆が小首をかしげる
「あれは…出したというよりは…あの筒から勝手に噴出したともとれるがな」
迦楼羅が枝に座ったまま答える
「しかし…緊那羅にも困ったものだな…役目を忘れ、挙句馴染んでいるとは…」
迦楼羅の右前頭部に【怒】マークの象徴である血管が浮かんでいた
「落ち着いてください迦楼羅もうしばらく様子見ることにしましょう? 緊那羅だって何か考えがあってこうしているのかもしれませんし…」
乾闥婆があつくなった迦楼羅をなだめる

「!!……」
「緊ちゃん?」
何かに気づいたように突然御神木を見上げた緊那羅に悠助が声をかけた
「…いや…なんでもないっちゃ…」
気のせいだと自分に言い聞かせるように緊那羅が呟いた
「こりゃ風呂はいらねぇと…ベタついてしょうがないな;」
ベトベトする髪をかき上げて京助が言った
「緊那羅、悠、先入って来い。俺掃いててやっから」
緊那羅から箒を取り『ホレホレ』と手でいってこいと合図する
「じゃぁ…いくっちゃ悠助」
「うん」
緊那羅が手を差し出すと悠助は嬉しそうにその手につかまって歩き出す
その姿を見送った後京助は箒を動かし始めた

コロコロ…

「お?」
どう聞いても葉っぱを掃いた時の音とは違う何か丸い物が転がる音がした
京助は掃くのをやめ足元に目をやると木漏れ日を浴びて光る赤い小さな玉を見つけた
ふさふさした毛(?)のようなものが付いていて宝石類に全く興味の無い京助にも結構な価値があるということがわかった
「…落し物…高そうだなぁ…なんでも鑑定団にだしてみっか…」
冗談にも本気にも聞こえる言葉を呟くとその玉をハーフパンツのパケットに入れ再び箒を動かし始めた
「京助、代わるっちゃ」
甚平を着た緊那羅が小走りでやってきた悠助の姿は無い
「もう入って来たのか? ってかまだ髪乾いてねぇじゃん」
「暑いしいいっちゃ」
ポニーテールにした髪から水が滴っているのを絞りながら緊那羅が笑う
「京助、頭にハエとまってるし足からアリ登ってきてるっちゃ」
緊那羅に言われて足を見ると三匹のアリが登ってきていた
ソレを片足で払うと
「んじゃ、バトンタッチな」
「ん、了解だっちゃ」
箒を緊那羅に渡すと京助は駆け足で家の方向に向かっていった
「…迦楼羅と…乾闥婆だっちゃね」
御神木を見上げ名前を呼ぶと二人が降りてきた
「久しぶりですね緊那羅、元気そうで何よりです」
乾闥婆がにっこり微笑んだ
「迦楼羅…」
にこにこしている乾闥婆とは対照的にブスっとしている迦楼羅
「…お前は何をしておるのだ?」
ガンを飛ばし【怒】を抑え(ているようにも抑えていない様にもとれる)ながら緊那羅に問う
「迦楼羅」
今にも何か怒鳴りそうな迦楼羅を乾闥婆が抑える
「…今日は何も聞きません…このまま帰ります。が…」
ふっと笑って乾闥婆が言った
「次回は…わかっていますね?」
先程の笑顔は何処へやら…ビフォーアフター的目つきで緊那羅を凝視した
「……」
無言でコクリ、と緊那羅が頷くと迦楼羅がフンと鼻を鳴らし
「自分の役目を忘れないことだな」
と言うと同時に強風が起こった
ザアァと御神木がざわめき葉が大量に落ちてくる
「…役目…」
落ちてくる葉を見上げながら緊那羅が苦い顔をした

「きーんちゃーんっ!!」
「おわっ!?;」
悠助に不意打ちアタック抱きつきVerをくらった緊那羅は前にのめって御神木に顔面をぶつけた
「また風吹いたねぇ~」
悠助が抱きついたままはしゃぎながら言った
「また掃きなおしだねっ」
「…そう…だっちゃね;」
強打した顔をおさえて起き上がると御神木を見上げた
葉っぱが1枚遅れて落ちてきた