恋音
好き…？
夏越が
俺を？
て事は、両思い？
こんな事ってアリ？
「…………ごめん。」
ふいに夏越が謝ってきた。
「やっぱ、男同士とかキモいよな……。」
まぁそりゃ…。
てか俺もう男と経験あるけどな。
「俺のこと…嫌いになった……よな。」
「…っなるわけないだろ！！」
つい、今の言葉にカッとなって大声でとんでもない事を言った気がする。
やばい、死にたい。
「え………すず、くれ？」
「ぁ……………ぇ。」
「…俺のこと、嫌いじゃない……のか？」
「…………………」
「鈴暮………キス、したい…」
「してもいい？」なんて大好きな奴に見つめられたら……。
恥ずかしくて下を向く。
そのまま小さく傾いた。
夏越の唇が俺のと重なる。
ただ、触れるだけのキス。
俺がした事ないような、甘いキス。
それだけなのに、俺は……。
すごく、嬉しくてー…。
唇が震えて、離れる。
名残り惜しいが、まだ現実を確認もできてない。
「…鈴暮、」
「………なに」
「…俺の事…好きか？」
「……………」
「なぁ、…」
「………分かるだろ…」
「鈴暮の声で、…聞かせて？」
なんだよ…コイツ。
ホストみたいな事いいやがって。
……くそっ。
「……………好き…かもしれない…。」
やっぱり素直になれなくて。