小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

恋音

INDEX|8ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

「す…鈴暮君っ!」


まったく知らんハズの女子に声をかけられた。

いあ、コイツ…どっかで……?。

一人云々と首を傾げていたら、女子がめっちゃ震えながら。



「こ、校内では、動物禁止ですっ!」
「あー……」


バレタか。



「分かった、自販機で牛乳買ったら消える。」
「あ、あと!」
「あぁ?」

うぜぇな。

「その、金髪は…校則違反……です。」
「あー……じゃあガッコやめるわ。」
「それはダメです!」
「はいはい、分かったって、てかアンタ何?」
「え、あ、私、副会長ですから…」
「あーー……」


思い出した。
コイツ夏越と仲良く話してた奴だ。

生徒会仲間だったのか。



「あと、午後の授業にはちゃんと出てください!」
「あー……」

ほんっとうぜぇ。

まじイライラする。



「鈴暮君…?」
「………」
「聞いてますか?」
「………」
「あのっ!」

「あきら!」


下の名前で呼ばれて思わず目を見開く。
コイツが言った……わけじゃなさそうだ。

じゃあ誰が?

声がした方を振り向く。


「ぇ……夏越…?」
「鈴暮…と柊?」
「あ、はい…。」


夏越を見た瞬間、女子の顔は真っ赤になり嬉しそうに返事する。

嗚呼、なんだやっぱり彼女か…。


「鈴暮、子猫どうした?」
「……ココにいる。」

シャツの中を上から覗かせる。
そうすると子猫が夏越に気づいて顔を出す。


「みゃあ。」
「よしよし、可愛いな。」
「……お前、さっきびびってなかった…?」
「うん、けど慣れた。」
「…あっそ。」


夏越がヘラヘラ笑いながら子猫を撫でる。
そのたびに俺の首に手があたって何か痛いけど。
夏越が嬉しそうだから、まぁいいか。

なんて若干ほのぼのしていたら、隣で黙っていた女子が口を挟む。


「会長、校内では動物禁止です…」
「ん?あぁ、そうだったな。」
「あと、金髪も…」

女子がチラッと俺を見る。
なんだコイツ、何か俺に恨みでもあんのかよ。


「ハハ、今更鈴暮に言ってもしょうがないだろ?」
「か、会長!」
「…喧嘩売ってんのか、お前。」
「ごめんごめん、なぁ鈴暮、一緒に昼食べないか?」
「…は?俺?」

いきなりの事に戸惑う、
コイツ彼女の前で何言ってんだ…。


「うん、ダメか?」
「…別に…好きにしろよ。」
「うん、ありがとう。」
「………別に…」


そんな様子を女子がめちゃくちゃキレそうな顔で見てる。
まぁ、キレそうになるわな。


「鈴暮は弁当?」
「いあ、食堂で何か買う。」
「じゃあ、行こう。」
「え、…あ、あぁ。」


グイグイ手を引っ張られるけど、後ろの女子から視線が痛い…。

コイツ…まさか天然?






その後、俺は食堂でパンを買って夏越に連れられ屋上にきた。



「鈴暮、ちょっと手にお椀作って?」
「ん、こうか?」
「そうそう、そのまま下に降ろして。」
「ん。」


夏越が俺のシャツの中に手を突っ込み子猫を抱き上げる。

いあ、別に、感じて…ない。

そのまま子猫を下ろし、俺の手の中に牛乳を注ぐ。
すると子猫が嬉しそうにそれを舐める。


「喉、かわいてたんだな…。」
「ん、だな。」
「……可愛いな。」
「だな。」
「……色っぽいし…。」
「ん?どこが?」
「あ、いあ…なんでもない。」
「?」


コイツ今、猫相手に色っぽいって言わなかったか?

とりあえず腹が減ったからパンを食う。
夏越は手作りであろう弁当を無言で食ってたが、俺はどうしても気になる事が頭を回ってた。

さっきの女子、彼女…だよな。

彼女がいたのに、何で俺なんかと飯食ってんだよ。
なんで、あの時、名前で呼んだんだよ。

いろいろ聞きたいがやっぱり聞けない。



「なぁ、鈴暮。」

ふいに黙っていた夏越が口を開いた。

「…あんだよ?」
「さっきの女子…柊って言うんだけど…。」
「…………」
「アイツの事、誤解するなよ?」
「………なにが」
「アイツ俺にくっ付いてるけど彼女とかじゃないから。」
「……ふーん。」


読み取られた…?
俺の心見られたのか…?


「あとさ、俺…」
「…ん?」


夏越がいきなり立ち上がり、俺の隣に居たのに、目の前にくる。


「俺…………好きみたい。」
「ん?」
「だから…」
「なんだよ?」
「俺………鈴暮の事、好きだ。」



しばらく、時間が止まったような気がした。


作品名:恋音 作家名:れん