小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

恋音

INDEX|7ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

コーヒーを入れてやった、
ついでに自分にもココアを作った。


「…ほら」
「ん?え?鈴暮が入れてくれたの?」
「……他にいんのかよ」
「いないな」
「当たり前だろ…」


すげー美味そうに目を細めて飲むのを、
ただ眺めていた。


しばらく俺はベットに腰かけながらココアを飲んでいたが。
時刻が2:30になるころ、ウトウトしはじめていた。



「鈴暮、寝てて良いよ?」
「………ぅん」
「コップ落ちるよ?」
「………ぅん」
「…俺の事、好き?」
「………ぅん」
「襲っていい?」
「………へ、ぁ?」


そこで意識が戻ってきた。

俺なに喋ってたんだ…?


夏越がやけに嬉しそうにニヤニヤしている。
なんか気に食わん…。


でも、今は問いだたす事よりも。



「………寝る」


そのままベットに倒れて意識も吹っ飛んだ。
















目を開くと、夏越…。

あぁ、またあの夢か…。

夏越がゆっくり顔を近づけてくる。

そのまま口付けて、隙間から舌を入れてくる。

俺も必死に奴にしがみついて、舌を絡ませる。


どうせ夢なんだ…現実じゃできないような事をしてやる。


「んっ…はぁ、もっと…!」


自分から体を擦り付ける。

もっと深く。
もっと激しく。
もっとー…。





「鈴暮…」

名前を呼ばれて目を開ける。

そこにはウットリした顔の夏越がいた。


あれ?まだ夢か…?


舌を絡ませ合ってるから夢のハズ…なんだが。

ずいぶんリアル…。


「はっ……なご、し…ゆめ?」
「…違うよ」


そこで唇を離して辺りをキョロキョロする。

えーと…夢じゃないなら、今リアルにディープキスしたと?
コイツと?


「………」
「ごめんな?鈴暮すごいものほしそうな顔で見てくるから…つい…。」
「……俺、そんな顔してたか…?」
「…うん。」


とりあえず、……死のう。

もう生きてけない。
死ぬ。
死ね。
俺がな。



「鈴暮、とりあえず、朝食、食べようか?」
「………だな」



もうなにもかも、どうでも良くなってきた。






朝食にパンと牛乳が用意されてそれを頬張る。
うん、うまい。


その後、登校時間になり夏越が着替え初め、俺も昨日洗濯されたであろう制服に着替えた。








学校に行くまでに、夏越は無言で本を読んでいた。

俺はとくにすることもなく、前を向いて歩いていた時。


「にゃー」


何処からともなくそんな声がして辺りを見渡せば。
小さな子猫が擦り寄ってきた、夏越に。


「…猫?」
「みりゃわかんだろ。コイツ可愛いな、何処から来たんだ?」


俺が子猫を抱き上げると夏越がおずおずと撫でる。


「…猫、嫌いなのか?」
「いや、普通。」
「手、震えてんぞ…?」
「あ、あんま触らないから…」
「ふーん…」


意外な一面が見れてなんとなく嬉しくなる。
子猫を抱き上げたまま、歩く。


「にゃー」
「よしよし、お前可愛いにゃー。」


なんて、つい動物好きの俺がいつもの癖でそんな事言ったら。



「……なにすんだよ」
「え?撫で撫で。」
「…俺はガキじゃねぇぞ。」
「今、にゃーって言ったじゃん」
「っ…く、癖だ」
「ずいぶん可愛い癖だな」
「…お前、マジ黙れ…」
「うん?やだ」
「っ……はぁ、もういい」



地味に疲れる。
腕の中では子猫が寝ている。
降ろすのが何となく名残り惜しくて、そのまま連れて行った。








校内では動物禁止。
そんな事、わかりきっていたので、俺はそのまま屋上に向かう。

後ろから夏越に「授業は?」と尋ねられたが。
「サボり」と言って抜け出してきた。










「にゃー…」
「んーにゃ…」


一人で猫とじゃれ合いながらいろんな事を考えた。

アイツなんで俺とちゅーなんかしたんだろ…。

ノリ?
遊び?
それとも本気?

さっぱり分からん。



「アイツ……終わったかな…?」



なんて、呟いてみる。




「にゃあ…」
「んー…?どうしたぁ?」


子猫が胸に擦り寄ってきて、思わず頬が緩む。

やっぱり、ねこはいいなぁ…。


子猫が指をペロペロ舐めてくる。


「喉かわいたか…?」
「ふにゃぁ…」


ポケットを漁り小銭を出す。
牛乳の一本ぐらいなら…。

ダルイ体をノロノロ起き上がらせて、子猫をシャツの中に隠す。



「見つかっと面倒だからな、ちょっと大人しくしてろよ…?」
「にゃあ。」


うん、可愛い。

若干毛が当たって肌痒いが、まぁこのぐらいなら…。


屋上の扉を開き、食堂へ向かった。





作品名:恋音 作家名:れん