【第一回】 始まりはエビフライ
「おかえりだっちゃ」
「あ~ただいまだっちゃ…ッ!!!!?;」
違和感なく返事してしまった後 緊那羅の姿を見て目を丸くした
「き…!?ってか悠!!? キンナラムちゃん!?;」
パニくってよくわからない言葉を連発しながら悠助と緊那羅を交互に見る
「緊ちゃんね、いいたい事があるんだって」
悠助が京助にを見上げてにっこり笑った
「いい…たいこと?」
「ね? 緊ちゃん」
緊那羅は悠助とアイコンタクトした後コクリと頷いて
「ごめんなさい」
そういって頭を下げた
京助は何が起こったのかわからなくて固まったままだった
「ほらほら京助、そんな所に立っていたらおかず運べないわ今日から家族増えたんだから少し手伝ってちょうだい?」
お盆に夕飯のおかずをのせ母ハルミが茶の間に入ってきた
「京助~緊ちゃん謝ってるよ?」
悠助に制服の裾を引っ張られハッとして京助は緊那羅を見た
緊那羅はまだ頭を下げたままだった
悠助を見ると【許してあげてオーラ】が全開で出ていた
母ハルミを見ると…微笑みながら真新しい箸を手渡された
「…母さん昨日のエビフライ…まだ残ってたっけか?」
「冷蔵庫にあったはずよ?」
「…とってくる」
そういうと京助は茶の間を出て行った
しばらくして戻って来たかと思うと真新しい箸にエビフライを一本刺し緊那羅に差し出した
「きょ…」
「さっさと持てよ温めてきたから皿あちぃんだから」
恐る恐る緊那羅が箸を受け取ると京助は意地悪そうに笑い
「食ってみろよ昼間弁当に入ってたエビフライと同じヤツだから…食べられなくしたことぜってぇ後悔する美味さだぞ」
そう言って席に着いた
「じゃぁいただきますしましょうね? ホラ悠ちゃんも緊ちゃんさんも座って…」
母ハルミが仕切りだす
「よかったね! 緊ちゃん!」
箸を持ったまま立ち尽くしていた緊那羅に悠助が笑いかける
「…うん…」
緊那羅が少し照れながら頷いた
作品名:【第一回】 始まりはエビフライ 作家名:島原あゆむ