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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第一回】 始まりはエビフライ

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ホラ、と耳を見せられて4人はソコについていたのだろう【連絡手段】の残骸を見た
ピアスになっていたらしいがぶら下がっていたと思われる部分がなくなっていた
「なら一旦帰ればいいじゃん? そして…」
「こっちからは帰れないんだっちゃ…こっちからじゃ扉が開けられないから…確認が終ったら連絡して開けて貰う手筈になっていたんだっちゃ」
「なんてこったい…;」
京助が溜息をついてガックリと肩を落とす
「…じゃあ緊ちゃん帰れないの?」
悠助が京助から降りて緊那羅の顔を覗き込む
「しばらく…しばらくしたら…音信不通になったということでまた誰か来ると思うっちゃ…」
緊那羅は空を見上げた
つられたのかどうなのか京助達も空を見た
ゆっくりと流れていく雲と青い空
「つか…天からきたとか言ってるけどさぁ…天って空にあるのか?」
中島が何気に呟いた
「空…といえば空だっちゃ…でも空じゃないといえば空じゃない…天は天なんだっちゃ」
「…ようわからんトコから来たからようわからん格好してるんだなお前」
南が緊那羅の格好を改めてまじまじと見ていたその時

『ピンポンパンポーン…♪2年2組中島君、南君及び2年3組栄野君、坂田君…前田先生が至急生徒相談室まで来る様にとのことです…繰り返します…』

前田先生というのは緊那羅との追いかけっこの時ヅラと吹っ飛ばした先生のことでしつこいことで有名な中年教師であった
「…バックレるか?」
中島が3人を見渡した
「今日逃げても明日、明日も逃げると明後日…」
南が両手を挙げて【お手上げサ】というように首を振った
「んっじゃま…叱られにいきますか…」
坂田があーぁといいながら屋上の出口に向かった
「しゃぁねぇなぁ…おい悠、母さんに遅くなるからって言っておいてくれ」
京助も後に続いて屋上から去った

風が吹いて緊那羅の髪飾りを弄んだ
「緊ちゃんっていい人なんだ」
「へ?」
悠助が緊那羅に顔を近づけてニコニコ笑う
「私は…」
「だってコマとイヌが懐いてるもん」
言われてふと膝を見ると二匹は気持ちよさそうに緊那羅の膝で丸くなっていた
「学校壊したり京助達いじめたりお弁当粗末にしたことは悪いことだけど…謝ったらきっと絶対みんな許してくれるよ。僕も前に玉ネギ残して隠れて捨てた時謝ったらハルミママ許してくれたもん、だから謝ったら大丈夫だよ」
しばらくきょとんとして悠助の話を聞いていた緊那羅は目を細めると
「…そう…だっちゃね…」
ふっと笑った

午後八時
「つっだ~…疲れた…めっちゃくそ疲れた…前ドゥーの野郎3時間説教の後に後片付け…腹減った~…」
京助は帰宅するなり玄関に座り込んだ
「おかえり~!」
バタバタという足音とワンワンという鳴き声とともに悠助とコマとイヌがのしかかってきた
「悠…重いからドケロ;」
コマとイヌを払い落とし悠助を降ろす
「腹減ってんだよ…;朝昼食ってねぇし、いらねぇ体力使うしで…」
ブツブツ言いながら廊下を歩き茶の間の障子を開ける