【第一回】 始まりはエビフライ
緊那羅が目を覚ましたのは放課後だった
「…こんなことしてただで済むと思うなっちゃ」
屋上の避雷針にくくりつけられた緊那羅は京助達をにらんだ
その顔には『ダーリン命』とか『キダム参上』などという落書きが油性ペンで書かれていた
「さぁてと…お前には聞きたいことがわんさかあるんだよな」
緊那羅と目の高さをあわせるために京助がしゃがむとその上に悠助が乗っかってきた
「ねぇねぇ! 緊ちゃんはどっからきたのー?」
緊張感のカケラもない悠助が質問をした
「…ラムちゃんからキンちゃんに呼び方変更ー」
「ダーリン からなんでこうなるの!! に変更ー」
南と中島が更に緊張感を崩す発言を連発した
「ソコとソコとココッ!! 少しだぁっとれッ!!」
中島、南、悠助と順に指を刺しながら京助が怒鳴る
「ねぇ、どこからきたのー?」
「…天」
悠助の質問に緊那羅がボソっと答えた
「ふぅん~何しに来たの?」
「…栄野兄弟を護るべき者か滅する者か…確かめるためだっちゃ」
悠助の気の抜けた尋問に小声ながらも緊那羅は答えていった
「あのさ、お前…緊那羅が嘘ついてる様には見えないんだけどさぁ…天からきて俺と悠を護るか殺すか確かめるとか…なんなんだ?」
緊張感がすっかり無くなった中京助が緊那羅に聞く
「それは…私も詳しくはわからない…ただ上の命に従ってきただけだっちゃ」
緊那羅は俯き答えた
「なら上に聞けばいいじゃん? 連絡手段とかあるんだろ?」
坂田が眼鏡を拭きながら言った
「あった…にはあったんだっちゃけど…」
「ど?」
「さっきこのイヌがぶつかってきた時壊れたっちゃ」
辺りがモノクロの空気に変わった
作品名:【第一回】 始まりはエビフライ 作家名:島原あゆむ