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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第一回】 始まりはエビフライ

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三時間目終了のチャイムが鳴り終わると京助は玄関まで猛ダッシュした
腹の限界が近いらしく目が血走っている
「よう! 京助便所か~?」
途中隣のクラスの【中島柚汰(なかじま ゆうた)】と【南朔夜(みなみ さくや)】とすれ違ったが多分、いや絶対気づいていないだろう
「空腹は盲目ってか」
京助の後を追ってきた坂田がひょうひょうと言い放つ
意味の分からない中島と南は京助の走り去った廊下をぽかんと眺めていた

玄関についた京助は自分の下駄箱を上下左右隈なく見た
しかしあるのはちょっと臭う自分のスニーカーのみで愛しの青い弁当箱は何処にも見当たらなかった
「っつだ~…まだ届いてねぇし~; …俺を餓死させる気か…」
ヘロヘロとスノコの上に座り込んでそのままパタリと倒れこむ
同時に腹の叫び声が空しく玄関に木霊した
「おかずはきっと昨日の残りのエビフライだろーなー…それと多分ミニトマトー…玉子焼きー…」
一段と大きくなってきた腹の叫びはもうどうにもならない
人間とは追い詰められると並み半端じゃない能力を発揮するものだとよく言うものだ
京助は普段なら聞こえるはずの無い微かな足音をその耳に入れていた
「俺のエサ---!!」
がばっと起き上がると足音のしたとおもわれる方向に向かってダッシュしていった

「誰だお前…」
『お前こそ誰だよ』と返ってくるだろうと思い京助は名乗るスタンバイをしていた
そこにいたのは愛しの弁当箱…じゃない悠助ではなく何とも不可思議な格好をした一人の少年(?)だった
間をおいても『お前こそ誰だよ』がこなかったので京助はとりあえず悠助のことを聞いてみることにした
「なぁ、青い弁当箱持ってるやつ見なかったか?」
「…栄野…京助」
「はぃ?」
いきなり唐突に名前を呼ばれて上ずった返事をしてしまった
少年はふっと微笑むとゆっくり近づいてきた
「えと…どっかであったっけ? 演劇部のヤツか?」
懸命に思い出そうとしていると少年が更に近づいてきた
「栄野京助」
「な…」
ついには今にもキッス(昔表現)ができそうなくらいまで顔を近づけてきた
「きゃー!! 健全なる青少年育成の場でなんということでしょう!!」
京助の後を(面白そうだから)追ってきた南が声を上げた
「お前…いくら綺麗でも可愛くても男に手ェだすなよ…」
「ハルミさん…かなしむだろうなぁ…息子がホモだなんて…」
中島、坂田も後に続き口を挟む
「ちが…; これはっ;!!」
少年の肩を掴み引き離す
「栄野京助」
少年が京助の手を振り払い再び名前を呼ぶ
「何なんだよお前ッ!! 俺に何の用なんだっての!!」
坂田達のいる位置まで下がると京助は食って掛かるように少年に問いかけた
少年はまたふっと笑った
「お前…明らかに小馬鹿にされているな」
「るっさいッ!!;」
坂田が同情の目で見つつ京助の肩に手を乗せた
「なぁ京助…お前演劇部か劇団四季に知合いいたのか?」
南の問いかけに京助は首を大きく横に振った
「じゃあ中国雑技団かキダムには?」
「はぁ? いるわけねー…」
中島のふざけている問いかけに『いるわけねーじゃん!』と返そうとして何気に少年の方を見ると少年は玄関前に建っている旗棒(高さ30m位)のてっぺんに立っていた
「ありえねー…」
4人は口をそろえてハモった
「我は緊那羅(きんなら)!! 栄野京助! 上の命によりお前が護るべき者か滅する者かこの緊那羅が判断するっちゃ!!」
「…ちゃ?」
おそらく、いや絶対4人は同じことが脳裏に浮かんだであろう
「ちゃ、だってさ」
「好きよ好きよ好きよ うっふん だな」
「だーりーん だな」
「トラビキニだな」
(多分)危機に立たされているのだろうが今はあんまりソワソワしないでvVというかソワソワどころかむしろ笑いたくてムズムズしている4人であった