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大和・小泉藩の侍・澤田文左衛門家の三代にわたる跡目相続に腐心した女性・房の生涯をたどったものである。房の父・二世正胤の功績に対し藩主・小泉貞芳候が墓碑を立て碑文を賜ったことが、この相続に絶大な影響をもたらした。四世正伊が江戸藩邸を脱走したにもかかわらず、跡目相続が認められたのである。その陰には、房の母と噂されている、藩侯ゆかりのいま一人の女性・お倫の方がいた。