CROSS 第2話 『9番目の異次元ステーションでの災難』
「なにやっているのよ!!!」
椿が大声で怒鳴った……。
しかし、ゲームをしている彼らは、イヤホンをつけているらしく、
あまり大きな声には聞こえなかったらしく、
「え? 何? 聞こえない」
というウサギのアスキーアートを思い出させる返事がブリッジにい
る仲間と「狩り」に夢中な少佐から返ってきた。
そのあきれた返事と態度に、椿は怒るのを通り越してあきれてし
まったようだった。彼女は、ゆっくりと顔を下にして、少佐のほう
に歩いていき、少佐のすぐ横に到着した。
彼女は、ためいきをつき、無言のまま右手で、大きな竜と闘って
いる場面が映し出されているPSPの画面を隠した。
とたんに、ゲームに夢中だった少佐は、顔を上げ椿を見た。
「なにすんだ椿! 死んじゃうじゃないか。 早くどけろよ!」
少佐は、PSPの画面を隠す椿の右手をどけようとしたが、椿は指に
力をいれているようで、どけることができなかった。
……やっとのことで、彼は椿の右手からPSPを解放したが、PSPの
画面には、「あんた死んだよ。 集会所に戻るよ」的な文章が表
示されていた。つまりゲームオーバーである。協力プレイのため、
ブリッジの他のプレイヤーのPSPの画面にもゲームオーバーを告げ
るメッセージが表示された。少佐と協力プレイをしていた3人は、
いっせいに少佐をにらんだ。
「ちょっと少佐! 1人で3回も死なないでくださいよ!」
3人のうちの少女が叫んだ。
「だって佐世保。椿がじゃましたんだよ」
佐世保という名前の少女は、今度は椿をにらんだ。
作品名:CROSS 第2話 『9番目の異次元ステーションでの災難』 作家名:やまさん