CROSS 第2話 『9番目の異次元ステーションでの災難』
そんななか、あの黒人のステーションの司令官は、格納庫でステ
ーションの人々を数隻ある脱出艇へ誘導していた。脱出艇は全自動
式で、艇のコンピューターが近くを航行している味方の艦船まで救
助されに連れて行ってくれる。
脱出艇の1つが収容を終え、ステーションから異次元空間へ飛び
出しって行った。まだ、脱出作業は終わってはいないが、1隻目の
脱出艇が異次元空間へ飛び出していくのを、司令官は微笑みながら
みていた。 ……が、
ドドーン!!!!!
……という安っぽいおなじみの爆発音とともに、たったいま異次元
空間へ脱出していった脱出艇が、こっぱみじんに爆発した。
その光景を、司令官は口と目を全開にして見ていた。
「……どういうことなんだ!?」
司令官はそうつぶやくしかなかった。
そしてとうとう、あぜんとする司令官や必死に脱出艇に乗り込ん
でいる人々がいる格納庫へ、あの異形の怪物たちがなだれ込んでき
た。脱出艇へ乗ろうとしている人々がパニックを起こし、みんなが
我先に脱出艇へ乗り込もうとした。
近くにいた2人の保安要員が、捨て身で怪物たちにライフルを乱
射しながら突っ込んでいったが、怪物たちは一切ひるまず、2人の
保安要員をミートソースのひき肉レベルに引き裂いた。保安要員た
ちの血が司令官や脱出艇へ乗り込もうとしている人々に降り注ぎ、
とうとう脱出艇に乗り込もうとしている人々が将棋倒しになった。
将棋倒しになった人々の元へ、無慈悲な怪物たちが襲い掛かり、
たちまち、格納庫が血の海になり、怪物に飛ばされた生首が何個か
天井にぶつかり、格納庫の灰色の天井に彩りを加えた。抱き合って
いる母親と子供の親子は、少し大きめの怪物のつめで、くし団子の
ように(2つだけのくし団子はないが。)いっしょに腹部を貫かれ
た……。
作品名:CROSS 第2話 『9番目の異次元ステーションでの災難』 作家名:やまさん