CROSS 第2話 『9番目の異次元ステーションでの災難』
……その時、光子魚雷とみられる物体が、高速でステーションに
直撃した。次の瞬間、ステーションは一気に大爆発を起こした。そ
の大爆発の衝撃で、特務艦が揺れた。その爆発音は、とても言葉で
表現できるものではなかった。
それでもまだ隊員の怒声が響いている転送室を、少佐と椿は静か
に出て行った。
部屋を出たところで、先に転送されていた佐世保中尉に会った。
右手にメモリースティックを持っていた。
「お先に失礼しました。少佐。 これは、ステーションのデータベ
ースから回収した情報データです」
佐世保はそう言うと、メモリースティックを少佐に手渡した。少佐
の手は弱々しかった。
「佐世保。あの生存者は?」
少佐が疲れきった表情で言った。
「……この艦の医療主任の田原に預けました。すっかり衰弱してい
ましたので……」
少佐が無言で納得した様子を見せると、佐世保は頭を少し下げ、静
かにその場から去った。
佐世保を見届けた後、少佐と椿はブリッジに向かった。そして、
ブリッジに向かうエレベーターで2人だけで乗った。少佐の指示の
後、エレベーターはゆっくりとブリッジに向かって動き出した。動
き出したとき、少佐が口を開いた。
「……今回の作戦は、失敗だと思うか?」
少佐は、椿に静かに問いかけた。椿は少し考え、
「私は失敗だと思うわ。だけど、我々は最大限の努力をした。あなたにミスは一つもない」
そう静かに言った。
作品名:CROSS 第2話 『9番目の異次元ステーションでの災難』 作家名:やまさん