CROSS 第2話 『9番目の異次元ステーションでの災難』
「ありがとうございます! 少佐! 少尉!」
2人の隊員は少佐と椿に敬礼しつつ、お礼を言った。
「別にかまわないわ。最近、戦っていなくて体が鈍っていたし」
「しかし、走るのが早すぎるぞ。椿は」
「すばやさでは普通の人間に負けませんよ」
椿は、目に見えぬ速さで動けるのだ。
「あの、少佐。 佐世保中尉とウィル少尉は?」
「佐世保は通信室、ウィルは他の分隊に行ってる」
ピーピーピー
少佐がそう言ったあと、少佐が胸に付けていたバッジ型の小型
通信機の着信音が鳴りだした。すぐに少佐はそのバッジに指で触れ、
「ブリッジ、オレだ。何があった?」
通信してきたのは、特務艦のブリッジに待機しているヘーゲル大尉
からだった。
「少佐たちが任務を遂行しておられる『DW9』に向けて、遠距
離より光子魚雷が発射されたようです」
「な、なんだってー!!!」
ややオーバー気味に少佐が反応した。光子魚雷とは、主に軍艦から
発射されるかなりの威力を持つ兵器である。異次元ステーションを
一つ、十分に破壊できる。
「どこから発射された?」
「現在、不明です。かなり離れた場所から発射されたようです」
少佐は舌打ちした。
「あとどれぐらいで着弾する?」
「今からちょうど、11分29秒後です。ただちに、転送で避難を
してください」
「今、隊員たちを転送位置が設定してある通信室の方へ集める。ど
んどん転送していってくれ」
「わかりました。とにかく急いでください」
作品名:CROSS 第2話 『9番目の異次元ステーションでの災難』 作家名:やまさん