CROSS 第2話 『9番目の異次元ステーションでの災難』
そのごく短時間の出来事を見ていた例の2人を含む4人の隊員は
腰を抜かしたような様子だったが、すぐに逃げ出した。その隊員た
ちが逃げるのを見た悪魔は、1回大きく不気味な声で鳴くと、目の
前にある亡き骸となっている分隊長の死体を喰い始めた……。
さっきは暗い天井にいたためわからなかったが、その悪魔は、頭
部はオウムのような鳥の頭で、上半身は黒く厚い毛皮で覆われ、下
半身はトカゲというアンバランスな姿で、両手の黒い指のツメは突
起状でとても鋭いようで、反射して赤く光っていた。
逃げだした4人の隊員たちは、あの悪魔が追いかけてこないこと
を知ると少し安心したようだったが……、目の前に別の2体の醜い
悪魔が通路に立ちはだかったのを見たとき、彼らは絶叫した。
絶叫と同時に、2体の悪魔は隊員たちに飛びかかった。次の瞬間
には、前にいた2人の隊員が悪魔に押し倒され、あっという間に悪
魔にのどを食いちぎられ、血を噴水のように出しながら絶命した。
難を逃れた2人の隊員は、奇声を上げながら悪魔に向かって、持
っていた火薬式の自動小銃を3点バーストで連続して撃った。だが
、2人とも混乱していたため、銃弾はすべて外れた。そして、とう
とう、2人ともマガジンの弾が切れた。結局、1発も命中しなかっ
た……。2人の隊員は、その場に尻をついて座り込んでしまった。
悪魔は、それをあざ笑うかのように鳴くと、ゆっくりと弾切れの
自動小銃を持った2人の隊員に向かって動きだした。ゆっくりと近
づいてくる怪物を、立ち上がれなくなった2人の隊員は泣きべそを
かきながら見ていた。
ヒュン!!
……突然、空気を切るような音がし、次の瞬間に何かがブスリと
刺さる音がした。そして、目の前に迫っていた片方の悪魔が、小さ
く鳴き声を上げたあと、通路の床に倒れこんだ。驚いた隊員ともう
片方の悪魔が同時に、倒れた悪魔を見た。
倒れた悪魔の首には、バラ色に輝く包丁が深く刺さっていた。
作品名:CROSS 第2話 『9番目の異次元ステーションでの災難』 作家名:やまさん