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CROSS 第2話 『9番目の異次元ステーションでの災難』

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 しゃべっている2人に、5人1組のチームのリーダーである分隊
長が後ろから怒鳴った。しかし、この物語は、怒鳴る登場人物が多
いものである……。
 怒鳴られた2人の隊員のうちの1人が、上官である分隊長に今ぐ
らいの大声で返事をしてやろうと振り向いた。そして、その隊員が
口を開いたところで、隊員の口の動きが止まり、かわりに両目を大
きく開いてその方向を見た。

 その隊員が見たものは、自分のほうを怪訝そうに見ている分隊長
と、……暗い天井を走るパイプにつかまっている一匹のするどい突
起状のツメを持っている醜い怪物の悪魔だった。その悪魔は、あき
らかにこの分隊長を狙っていた。しかし、当の分隊長は、その悪魔
がすぐ近くにいることがわかっていないようだった。
 そのため、その隊員は、悪魔に襲われようとしている分隊長に知
らせようとしたが、その悪魔の恐ろしい姿に目を奪われ、うまくし
ゃべることができなかった。自分に何かをしゃべろうとしている隊
員にしびれ切らした分隊長は、
「いったいなんだ! どうしたんだ!?」
そう大声で、その隊員に言うと、隊員が見ていた方向、つまり悪魔
の方向へ顔を動かした。

 ……すぐに分隊長の目と悪魔の目が合ったが、次の瞬間には分隊長
の顔面に、悪魔の突起状の鋭いツメが勢いよく突き刺さり、後頭部
から、彼の脳などと貫通した悪魔のツメが大量の赤い血液とともに
飛び出した。悪魔が自分のツメをさっと引き抜くと、ツメに引っぱ
られて、分隊長の脳や眼球などもいっしょに飛び出てきた。