CROSS 第2話 『9番目の異次元ステーションでの災難』
「どこかのバカが、このステーションとデモナータとをつなぐ扉を
つくって開け放ったのかな…。 このステーションに魔術を使え
る奴はいる? もしくは、怪しい奴」
「いいえ、このステーションに魔術を使える人間はいないと言い切
れます。それに、クルーの身元調査も厳重に行っています」
「…しかし、魔術を使える人間じゃないと、デモナータとの扉は開
けない……。 ……そうだ、その悪魔たちが現れたとき、このス
テーションはどういう状況だった?」
ベシアーは少し考え込み、そして思い出したように言った。
「……そういえば、あのときは、このステーションに我国の海軍の
巡洋艦『エンターP・0』が貨物をこちらに搬入する作業の最中で
した!」
「貨物の中身は?」
「例の次世代艦の部品ですよ。かなりの数のコンテナがあったはず
です」
「コンテナの検査は? ……中身の」
「……実は検査はしていません。
……とても精密な部品が入っていて、あとで影響が出るかもし
れないと、巡洋艦側の担当者に言われたそうです…」
クルーが、おそるおそるそこまで言うと、それを聞いた少佐は、
大きなため息をつき、そばにあったイスにドカっと座った。通信室
にいた佐世保やウィルもため息をついた。
部屋にいた全員が無口になり、しばらくして少佐が、小さなため
息をついて言った。
「……『エンターP・0』からのコンテナに部品じゃなくて、悪魔たちが入っていたことは、ほぼ間違いないだろう。 「手違い」ではないだろうからな」
作品名:CROSS 第2話 『9番目の異次元ステーションでの災難』 作家名:やまさん