小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

明日に向かって撃て!(終)

INDEX|27ページ/36ページ|

次のページ前のページ
 

「あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとうございます。今年もよろしゅうにィ」
「こちらこそ」

 俺の念願だった。
 今俺は、晴れ着を着た緑ちゃんと初詣に来ている。
 箕面市瀧安寺は役行者が開き、日本四弁財天のひとつとされるご本尊を持つ。日本の富くじ発祥の地でもある。駅から箕面ノ滝に向かう道を15分ほど歩くと、箕面山を背景に箕面川をまたいでそれはある。

 今日は富くじがある。大きな木箱に入れられた木札を、蓋に空いた穴から先が尖った長い木で突き刺すのだ。
 お参りした後で富くじに挑戦。
 おっ、もんちゃんせんべいをゲット。ここは野生猿の繁殖地である。それの愛称として付けられた名前のせんべい。もみじまんじゅうも名物である。それと紅葉のてんぷらは、1年以上塩漬けした紅葉の色づいた葉を、砂糖とごまの入った衣を付けてパリッと揚げたもの。香ばしくておいしい。
 ここでは野生猿とはしょっちゅう出くわす。油断していると飲んでる最中の缶ジュースを奪われることがある。

「緑ちゃんは何をお願いしたんや?」
「そんなん教えたらご利益(りやく)なくなるやろ」
 話は途切れがちである。

 俺は隣を歩く緑ちゃんを、まじまじとはまだ見ていない。
 まぶしくて、見るのが照れくさいこともあって、まだ見ていないのである。前を向いたまま眼玉を右側に寄せると、肩のあたりが目に入ってくる。そこまで、だ。
 他の女性の姿は、なにもはばかることなく見ることができるのに。