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明日に向かって撃て!(終)

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 クリスマスケーキの四角い箱が積まれている。その横にスゥィーツ類の冷蔵庫。
 緑ちゃんはどんなんが好きなんか聞いとけばよかった、と思いながらチラと中をのぞいて立ち去ろうとした時、目の端で捉えた母子。
 女は俺が立ち去ろうとする様子をうかがっているみたいだ。チラチラと視線を送ってくる。どうしたものかと迷ったが、人を疑ってはいけない。が、気になって振り返ると、ちょうどその場面を見てしまった。ケーキのパックを自分の持っていた袋に入れたのだ。
 まだ万引きだと決めつけてはいけない。その場を離れて女を目で追いかけた。

 どうかレジを通ってくれますように!
 警備をしているからといって犯罪者を作りたくはない。未然に防ぎたいものだ。俺の監視不十分でそれができなかったのだ。いンやまだ分からない。
 どうかレジを通ってくれますように!

 女は子供の手をひいてレジを通らず、足早に出口へと向かった。
 フゥ・・・
 仕方がない。俺は外に出たところで女に声をかけた。
「奥さん、その袋の中、ちょっと見せてほしぃんですが」
 女の顔がこわばって血の気が引いたかと思うと、次第に泣きそうな表情に変わっていった。男の子は母を見上げるとつないでいる手に力を込めて、怖い顔で睨みつけてきた。

「一緒に事務所まで来てもらえますか」