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明日に向かって撃て!(終)

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 事務所の扉が開かれた。
 おはようございます、と言って入ってきた小沢耕作さんは、1歩踏み出したところで凝固した。

「こりゃすんません、食事中でしたか。ほなら外で待たしてもらいますよって」
と、そそっとそのまま後ろに下がり扉を閉めた。
 急いで食べ終えて顔を洗い、身だしなみを整えるとおもむろに耕作さんを迎え入れた。

「聞いとりますで。駅近の、通りにある喫茶店の女の子の胸触って投げ飛ばされた、て」
「だれがそんな嘘っぱちを。そんな破廉恥なことするわけないやないですか」
 憤慨した。
 俺はこの前の郵便泥棒とのやり取りから、そのまま喫茶“憩い”へ行き、緑ちゃんの誤解に弁明できなかったことを話した。

「ははあ、デマでっか。娘から聞いたんですけどね。お客さんから聞いた、て。あんさん、評判落としてますで」
と、粘り気のある視線を投げてきた。道理で暇なわけだ。
「最近公園へ来はれへんからどないしてはるんやろ、思いましてな。そやけどそれやったらこっちから謝ることやおませんな。その娘さんの早とちりやし、男の沽券にかかわることでっしゃろ。ま、早とちりして人の話きかんような女は、一緒になったら苦労しますで。気ィつけなはれや」
 クソッ、人ごとや思うて・・時間をかけてやっと親密になれたというのに・・・
 耕作さんは、ぬるいインスタントコーヒーをごくりと飲んで続けた。

「それで名誉挽回になるかどうか、無報酬ですねんけど、仕事あるんですわ」