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明日に向かって撃て!(終)

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 私服警官が自転車で善通寺駅に到着した時、少年が年配の男性と、そして30歳前後の男性と車に乗るところを見た。

「少年を見つけました。他に男がふたり。車に乗るとこやわ。4ドアセダンのシルバー、大阪530 ゆ 53ハイフン73。国道に出る模様」

 事件性の有無は分からないが、とりあえず任を果たし鼻歌ながらに署に戻る途中のファミレス。
 ふと見やると先ほどの車。
 店の中に入ってみる。
 かれらの坐る座席の背中合わせのテーブルに警官は腰を下ろし、聞き耳を立てた。

「そうか、ボウズ、とりあえず家に電話入れとけ、ホレ」
 小南が差し出した電話で悠馬は家に掛けた。
「おかあちゃん、ぼく」
『悠馬ちゃん? 今どこ? 犯人から逃げたんやね! よかったぁ・・ンもう、心配で心配で』
「ちょ、ちょっと待ってェな、おかあちゃん。犯人てなんやのん? 僕はおじちゃんに頼んで連れてきてもろたんやで」
『おじちゃんって、誘拐犯でしょ?』
「ちょっと探偵のおじさんと代わる」

 小南は耕作からと悠馬から聞きだした内容をかいつまんで説明した。今日中に連れて帰ることで話はついた。

「お母さん、塾のことえらい気にしてはったで」
「そやねん、じゅく、じゅく、じゅく・・・せっかく忘れてたのに」
「ボウズ、ピシッと言うたれ、自分のことやろ。もう5年生なんやし、自分の気持ちを言うのんは大事なことやで。ところで安田さんはどないしはります? 娘さんの気持ちは分か」
「分かってます。仕事中毒で家族のこと考えたことなかったんです。娘には会わずに帰ります」

 警官は事件ではないことを確信して、アイスコーヒーで喉を潤して店を出た。