明日に向かって撃て!(終)
丘陵地にある、周囲には高級住宅が立ち並ぶ公園。
俺はシャーロックを連れて遅い朝食を喫茶“憩い”でとるため、少し回り道をして立ち寄った。
おお、いるいる。
「おはようございます、小沢さん。ヨッはるま、母上に言えたんやな」
「うん、そやけど午前中だけ。午後からはやっぱり塾やねん」
悠馬は網と虫かごを下げている。
「小南さん、ありがとうございました。善通寺の娘から『ありがとう』って電話がありました」
おとつい善通寺で、新家庭で役立つであろうしゃれた時計を求めて、悠馬から和代さんに直接渡してもらい、車の中で小沢さんは17年ぶりの和代さんの姿を目に焼き付けていた。
悠馬は、耕作さんからです、と言ったという。
誰のことか、すぐに理解したようだった。
目がウルウルしてた、と報告してくれた。
悠馬の父安田さんは、俺の友人で家主でもある和登さんとは旧知の間柄だった。
昨夜は3人で飲んだ、飲んだ。
そして安田さんが、小沢さんの分も含めて謝礼としてはずんでくれたのである。
よし! きょう俺は、緑ちゃんを、映画に、誘うぞ〜!
2011.10.11
作品名:明日に向かって撃て!(終) 作家名:健忘真実