3等星と七つ星
どれだけ経っても春の言ったことは信じられなかった
まだあたしは引っ越してきたばかりで、春と知り合って間もないのに
でも、時間は無情にもどんどんと過ぎ行ってしまって
あっという間に引越しの日
「もうお別れなんてね」
「そうだね」
あまりにも早い、お別れの日
「まさか、春が引っ越しちゃうとはね」
「ほんと、ぼくも想定外だよ」
あれだけ星が好きで、毎日星の話をしてくれた
なのに、都会に引っ越しちゃうなんて
都会じゃ、天体観測なんてできないし
なにより、また一人になっちゃう
「大丈夫だよ。なるべく早く帰ってくる」
「信用ないなー」
あたしの気持ちを察してくれたのかな、春のほうがよっぽど寂しいはずなのに
「信用してよね。ぼくの星好き、誰よりわかってるでしょ」
「そうだね。信用して待っててあげるよ」
この年ではなかなかしない指きり
小学生っぽいなって今更思う
「それじゃ、行くよ」
「うん、頑張りなよ。都会は厳しいんだから」
そういって髪をくしゃくしゃにしてやる
「それ、次やったら怒るから」
「はいはい」
「じゃあね、梓」
「うん、ばいばい」