3等星と七つ星
それから毎日が楽しくて、1日1日があっという間に過ぎていく
こんな感覚、初めてだった
でも、その日の春は少し元気がなくって
なにかあった?って聞いてもなんでもないの一点張りで
もやもやを抱えたまま数日が経った
日が経つに連れて口数は少なくなるし、どんどん気まずくなって、もう限界
「あのね、何があったのかそろそろ白状しなさい」
いつものように黙り込んでしまうのかと思ったけれど
「…うん。」
決心がついたのか口を開いてくれた
「ぼくね…」
でも、そこからがなかなかつながらなくって長い時間を要した
思い悩んだような顔のままで、思い切れないようだ
辺りは春を急かすように風が吹いていて
耳元に風の騒音が過ぎ通る
何分たっただろうか、やっと口を開く
「ぼく、引っ越すことになった」
詰まる声でゆっくりとゆっくりと話を続ける
「都心のほうらしいんだ。梓が住んでたところの近くみたい」
あたしは話を飲み込むことができなくて、ぼうっとしていた
まさか、春が引っ越すなんて
「梓、聞いてる?」
「う、うん」
凄く情けない声が出た
「今週末なんだけど…梓、見送り来る?」
少し不安そうな、でも、期待した顔
「もちろん行くに決まってんでしょ」
「そっか。ならよかった」
それからは動揺でずっとぼうっとしていた
春もそれっきり何も話さなくなった