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circulation【2話】橙色の夕日

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「ただ、姉はいつでも食べ物を鞄いっぱいに持ち歩いているような人ですし、姉の体にも蓄えが沢山あるので……」
 やはり、先程までと変わらない調子でファルーギアさんが言う。
 つまり、彼にとって現時点では、まだ慌てるほどではないという事なのだろうか。
「依頼内容は開錠のみということだったけれど、それで大丈夫かしら?」
 デュナがファルーギアさんに念を押す。
 遺跡。と言われるとなんだか広くて入り組んでいるイメージがあるが
 フィーメリアさんの探索だとか、そういったことをする必要はないのかという確認なのだろう。
「ええ、開錠のみで、お願いします」
 ファルーギアさんの話し声を聞いていると、なんだかこちらまでのんびりというか、眠たくなってしまいそうだ。
 落ち着きを通り越して、気が抜けるような感じとでも言えばいいのだろうか。
 林を抜けると、途端に視界が開ける。
 小高い丘までがよく見晴らせる、原っぱのような場所に着いた。

「こちらです」
 ファルーギアさんの声に右を見ると、少し離れた場所がぼっこりと、斜めに盛り上がっているのが目に付く。
 近付くにつれ、その人一人分くらいの高さまで盛り上がった部分に、扉らしき物が見えてきた。

 どうやら遺跡というのは地下遺跡の事らしい。
 もしかして、この原っぱの下は全て遺跡になっているのだろうか。
 林の下まで全部だったりしたら、物凄い規模になってしまう。
 扉の周りをぐるりと確認したスカイが、こちらに頷きを返す。
 それを見てデュナが、扉の前に立つ私に声をかけた。
「普通に開けようとすればいいはずだから、やってみて」
「うん」
 今回、この扉を開けるのは私の仕事だった。