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キミの写真

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 それから少しして。校舎に残っている生徒がいないか一通り見回った後。


 俺は愛車に乗り込みアパートへと走らせた。



 途中カップルらしい学生達を何人も追い越した。
 もし俺もひかると同い年だったら、手を取り合い帰れたのだろうに……。


 カーラジオの音量を少し上げて家路を急いだ。





「ただいま……」


 アパートに一人暮らしをしているので返事がある訳がない。


 靴を脱ぎ、部屋の電気をつける。

 着ている上着をハンガーにかけ、飼っている金魚に餌をやる。


 代わり映えない動作の後台所へ向かう。



 俺もメシにするか、と冷蔵庫を開けると悲しいほど何もなかった。



 うなだれながら渋々買い置きのカップ麺を手に取る。

 ヤカンに水を入れ火にかける。今朝の味噌汁も同時進行で温め中だ。




 出来上がったカップ麺を手に、考えてしまう。


 ……こんな時に、ひかるがメシを作りに来てくれたらなあ、なんて。


 明日の授業の用意をしつつカップ麺を啜る。ぼうっとしたままひかるのエプロン姿を妄想……もとい想像する。



 ……悪くない、悪くないぞ。



 ――だが現実は高い障害のある恋。


 今はカップ麺を啜って明日に備えることしかできない訳で……。


 明日、ひかるに会ったら今日の事を謝ろう。


 アイアンクローした手を見つめ、ひかるに会える明日を思いながら。

 そうして静かに夜は更けていった。


作品名:キミの写真 作家名:アテナ