キミの写真
ふっと、ため息を吐く。
――考えすぎか。
そう、俺とひかるは所詮先生と生徒の関係。
俺は彼女の細かいこと――プライバシーは知らないし、俺も自身のプライバシーを彼女に教えない。
デートだって行ったことはない。誘ったことはないが、ひかるもそれを拒んでいる節がある。
理由は、俺にとってもだが、ひかるにはまずいのだろう。
――リスクはそう。生徒に手を出したという事実と、俺の首――
そういうこと。彼女と……曽根川ひかると一緒にいられるのは、限られた時と限られた条件。
彼女は頑なに、秘密を隠そうとする。ひかるも俺に気を配っての配慮だと思ってるだろう。
――けど。たまに、俺はそんなことがどうでもよくなりそうになる。ひかるといられるなら、それでいいと思ってしまうことが、ある。
「……皮肉なもんだな」
彼女に出会えたのは、この“教師”という職。それが今や、足かせとなっている。
今の“教師”という職を捨てて、彼女と一緒になる――。
考えて、自嘲気味に笑う。
きっと、そんなことをしてひかるが黙っているわけがない、と。
自然と出るため息。同時になるチャイム。それは、まるで今日の終わりを告げるかのようだった。