キミの写真
「もうすぐ卒業式……もう毎日ひかるの顔が見れなくなるのかー……でしょう?」
あながち間違いではない答えに、何とも言えず相好を崩す……が、彼女がそっと取り出した“モノ”を見て、俺の顔が瞬時に強張った。
「正解?
そっか〜先生はそんなに私……」
言って楽しそうに笑うひかる。そんな彼女の額に手を当てた。
唐突な行動に、眉を寄せたのを手の平越しに感じる。
それに構わず手を降ろし、目隠しをするように目を覆って
「い、いたたッ!」
「余計なこと言うな」
所謂、アイアンクローをかましてやった。
ひかるが取り出したのは手帳。
初めて撮った、仲睦まじい二人が映るプリクラが貼ってある一ページ。
解ってくれ、流石にそれはまずいだろう。
「……痛ッ」
思わず手を離す。
……思い切り爪を立てられた。
「……本気で、やりましたね?」
恨めしそうに見上げてくるひかるは、手を摩る俺を見て、自業自得です、と毒づいた。
まったく……じゃあ申し訳なさそうな顔をするな、と言いたい。嫌な顔も出来ないじゃないか。
「はぁ……もういいから、行け」
「……はーい。
せんせーさよーなら」
ひかるは少しムッとした様子だったが、瞬時に柔らかい笑顔を張り付けて走り去ってしまった。
怒らせたか……?
いや、だが賭けてもいい。
今、絶対笑ってる。