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キミの写真

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「新一ぃー!! はーやーくー!!」


 制服姿で先を行くひかるが大きな声で俺を呼ぶ。急かす姿にはぶんぶん振られる尻尾が見えるようで、喜んでいる犬を連想させる。


 本日快晴、日はまだ高く。
 二人してやってきたのは写真屋さん。

 仲直りする前に学校から出てしまったため、俺とひかるには卒業式の写真が一枚もなかった。


 俺としては別段気にするようなことではないと思っていたのだが、ひかるはやはり思い出を形として残しておきたいらしい。



「はい、笑って笑って」


 俺の倍は長く生きているだろうおじいさんが、三脚のついたカメラを俺とひかるに向けている。

 俺は卒業式に着たスーツに身を包み、隣に立つひかるの横顔を見つめる。


「……ねえ、新一」


 彼女をぼんやり見ていた俺を、ひかるは真正面を向いたまま呼び掛ける。


「うん? なんだ?」

「えっとね、えへへ……」


 振り向いたひかる。
 きっと俺は、その顔を生涯忘れない。



 その笑顔は、俺の胸に、キミの写真となって残るだろう。



「幸せにしてねっ!」


作品名:キミの写真 作家名:アテナ