キミの写真
そう言ってはにかんだ瞬間、フラッシュの光が俺達を包んだ。
眩くも暖かい思い出の一枚が、世界に生まれたんだ。
横を向いていたひかるは取り直しを求めていたが、これはこれで味があると、おじいさんは微笑む。
俺もそう思ったから、ひかるの頭を撫でてやった。むくれる彼女は、しかし満足そうだった。
出逢って、まだたった三年だ。
これから一生、なんて果てしない妄想は叶わないかもしれない。
だけど君が、これからはずっと隣にいるねって笑うから、きっと何とかなるだろう。
机に置いた、二人の写真。どちらも幸せに溢れていて、今更ながら恥ずかしく思ったりする。
でも、俺は毎日欠かさずそれを見た。時間を忘れてしまう程、何分も何分も、釘付けになる。今日もそうだ。
玄関からひかるの声がする。
そうだ。約束してたんだ。
早く行かなければ、とは思っても、俺の足は動かない。目線が離れてくれなかった。
あとちょっと、もう少しだけ
キミの写真を眺めていたい。
― END ―