キミの写真
「…………あぁ」
不思議と怖くは無かった。照れ臭くも無かった。ただ単純に……嬉しかった。
自分の気持ちが伝わって嬉しい。ひかるが受け入れてくれて嬉しい。そして何よりも―――
二人の想いが重なった事が嬉しかった。
馬鹿だな、俺。今までこんな簡単な事が見えていなかっただなんて。ひかるを想う余り、二人の幸せを見ていなかった。それでひかるが嬉しい筈がない。
俺は馬鹿だ。大馬鹿だ。
でも、これからは間違えない。見失わない。二人の幸せ。俺達の―――俺とひかるの幸せを。
「新一」
「ん?」
ひかるが笑う。優しい、優しい、至福の笑顔。何度見ても心が安らぐ、天使の笑顔。
「新一……大好き」
彼女が目を閉じる。俺も息を吸い込んだ。いざとなると緊張してしまう自分がいる。ひかるは、どうなんだろう?
けど……『大好き』だってよ。でも、俺は―――。
「愛してる」
その日、俺はキミに優しいキスをした。