キミの写真
「……来てくれたんだ?」
鈴のような声が、ゆったりとした所作が、優しい微笑みが、その全てが懐かしい。愛しい。
また俺に笑顔を向けてくれている、と考えただけで、激情が溢れ出ようと息んだ。
「言っただろ?
ひかるが望むなら、俺は何だってするって」
いつかに言った、誓いの言葉。彼女を繋ぎ止めておけるなら、俺は喜んで遵守しよう。
「ホント、ばかだなぁ……
何で? 何で先生は離れないでくれるの?」
愚問。答えるまでもない。
ひかる以外の女になびけ、という方が無理な話だ。こんなにも、愛しいのだから。
「面倒な女、って思うでしょ?
先生の言うこと聞かないし、ワガママだし、いっぱい先生を悲しませたよ?
なのに、僕は……
何もしてあげてない……」
沈んできた太陽が弱く光り、やがて朱に変わる。それを背景に佇むひかるは、神々しかった。
もう、激情は止まらなかった。
「……先生、じゃない。
これからは新一って呼べ」
静かに、音もなく、ひかるは俺の胸に収まった。細すぎる肩は不安そうに震えていたが、直ぐに収まった。
……ダメだ。まだ早い。
我慢、しろよ? 俺。