キミの写真
◆
単調なチャイムの音が響く。今更何を言うこともないHRは、それが終了の合図となった。
簡単な挨拶を済ませ、生徒達は蜘蛛の子を散らしたように解散した。落ち着きが無いと言うか、何と言うか……
「先生さよーなら!」
「おう。また明日な」
幼稚園児のような声を掛けられ、俺はテンプレートの返事をする。
こんなやり取りも、あと少しだけなのかと思うと寂しいな。なんて、柄にも無いことを考えてみたりする。
洩れた溜息は俺の心を如実に表していて、卒業式までの面倒臭さを再確認させた。
「どうしたんですか?」
「ん? あぁ、ひかるか……」
ぼうっと突っ立っていた俺を見上げるように、彼女は居た。
秘密裏に付き合って日が経つが、未だに掴めない所がある。
まあ、そんな所もイイんだけどな?
「先生が考えてるコト、当ててみせましょうか?」
ひかるは悪戯っぽい笑みを浮かべ、微笑む。それはいつもと変わらない優しいもので
自然と、俺の口も緩んでいた。